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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 A
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ところへ連れて行ってもらえるなんて……! 愛美の胸は喜びとワクワクでいっぱいになった。


   * * * *


 純也さんが予約してくれていたアフタヌーンティーは、一階のレストランのものだった。
 館内は高級感が漂いながらも上品で、落ち着いた感じがする。辺唐院家のキラキラ・ケバケバした感じとはかけ離れていて、愛美はこちらの方が寛げそうだと思った。

「――すみません、アフタヌーンティーを二名で予約している辺唐院ですが」

「はい。ただいまお席へ案内致します。上着とお荷物、お預かり致しますね」

「あ、はい」

 愛美と純也さんはスマホと財布のみを持って、レストランのスタッフの女性に案内されたテーブル席に着いた。

「――愛美ちゃん、スコーンって食べたことあるかい?」

「そういえば……ないかも。スコーンってどんなのだっけ?」

 横浜にはパン屋さんがたくさんあるので、パン屋さんの店先に売られているのをみかけたことはあるかもしれない。でも、実際に買って食べたことはなかった。

「えーっと、イギリス発祥で、パンとクッキーの中間みたいな感じでね。アフタヌーンティーには欠かせないお菓子なんだ。イチゴとかブルーベリーのジャムをつけて食べると美味しいんだよ。パン屋にはチョコチップを練り込んで焼かれたものも売られてるね」

「へぇー……、美味しそう」

 今日食べてみてハマったら、今度パン屋さんでも買って食べてみようと愛美は思った。

「――お待たせ致しました。アフタヌーンティーセット、二人前でございます。ゆっくりお楽しみ下さいませ」

 やがて、二人の前に三段重ねのシルバートレーのティーセットが運ばれてきた。そのトレーには一段目に美味しそうなサンドイッチ、二段目にスコーン、いちばん上の段に小ぶりなケーキなどのスイーツが盛り付けられている。
 そして、ティーポットからは紅茶のいい薫りがしてくる。まさに映画や小説などで見る、貴族のティータイムの光景。

(わぁ……、こんなにステキな光景が現実にあるなんて!)

 あしながおじさん≠ノ出会っていなければ、愛美はきっとこの場に来ることもなかっただろう。でも、セレブの御曹司である純也さんに――あしながおじさん≠ノ出会えたから、ここに来ることができた。

(……でも、この人はまだ知らないんだろうなぁ。わたしが今そう思ってること)

「美味しそうだね、愛美ちゃん。じゃ、頂こうか」

「うん。いただきま〜す」

 スタッフの男性に紅茶を給仕してもらい、愛美は純也さんにマナーを教わりながら、まずは下段のサンドイッチから食べ始めた。
 一度紅茶を味わい、そして生まれて初めて味わうスコーンに手を伸ばす。イチゴジャムをたっぷりつけてかぶりついた。
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