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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
彼女に出会えたことの意味 C
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 絢乃さんはその調査をお願いした時に、五十万円もの大金を料金として支払ったという。
 僕は「絢乃さん、金銭感覚バグってるでしょう絶対!」と呆れたが、「あなたを守るためなら、百万円だって一億円だって安いものだよ」と言い切られた。要は金額の問題ではないのだと。僕を守りたいというその気持ちだけは、ものすごく嬉しかったのだが。何だか自分が弱い人間のように思われていたのがショックだった。

 この誹謗中傷には加奈子女史もかなりお怒りだったので、調査を依頼したこと自体は妥当な方法だったと僕も思う。が、その後から絢乃さんが僕の知らないところでコソコソとその探偵と連絡を取り合っていたのが気に入らなかった。絢乃さん、まさかその探偵と浮気してるんじゃないだろうな……!? 

 ともかく、僕はその探偵……というか調査事務所が本当に信頼できるのか確かめるべく、一度訪ねて行った。ちなみにこのことを絢乃さんはご存じない。
 ネットでホームページを検索して住所を調べ上げ、新宿にある一階にコンビニの入った三階建てビルに辿り着いた僕は、二階にある事務所のドアチャイムを押した。

「…………はい? どちらさん?」

 ガチャリとドアが開き、顔を出したのは野太い声をした、僕より背の高い男性だった。年齢は兄と同じくらい。髪は短くてガタイがよく、ちょっと強面(こわもて)だった。

「あ……、あの。こちらが〈U&Hリサーチ〉で間違いないでしょうか?」

「そうだけど。――あ、アンタ、もしかして桐島さん? 篠沢絢乃会長の彼氏の」

「はい、そうですけど……。僕のことご存じなんですか?」

「そりゃあな、調査の当事者だからさ。――立ち話もなんだし、中へどうぞ」

 おジャマします、と事務所の中へ通された僕が茶色いソファーに腰を下ろすと、男性――この人が所長の(うち)()さんだという――がグラスに入った冷たい緑茶を出して下さった。奥では絢乃さんと年齢が同じくらいの女性がデスクトップPCに向かった何かされていた。彼女もここのスタッフだろうか。

「……ありがとうございます。いただきます」

「すいませんねぇ、こんなもんしか出せなくて。オレ、元刑事だからさ、お茶くみとか苦手なんだよ」

「はぁ」

「ウッチーが苦手なのはそれだけじゃないじゃん。デジタルオンチのくせに。だから調査は(もっぱ)らあたしの仕事なんですよー」

「…………っ、にゃろう」

 女性――()(づき)真弥(まや)さんと内田さんはいいコンビで、何となくそれ以上に親しい間柄のようにも見えた。もしかして、このお二人は恋人同士なのだろうか。年齢差はありそうだが。

「すみません、突然押しかけてしまって。もう事務所を閉められる頃だったんじゃないですか?」

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