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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
彼女に出会えたことの意味 B
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くのか、僕にもだいたい分かっていた。もしも彼女がこの投稿を目にされていたら、きっと僕以上に怒りをおぼえていただろうし、それ以上に怖くてたまらなかっただろうと。

『この投稿のこと、彼女には言わない方がいいよな。知ったら絢乃さん、絶対に傷付くし』

『いや、絢乃ちゃんだって自分でSNSやるようになったらイヤでもこれ見ることになるだろ。でも、お前から聞いた限りじゃあの子、これくらいじゃ何とも思わないんじゃねぇ? お前が思ってるよか強いぞ、あの子』

『……………………』

 案外そうかもしれない、と僕は思った。動画投稿サイトに書き込まれた悪意のあるコメントだって、彼女が目にされていないはずがないのだ。でも彼女はきっと、そういう見方も世間にはあるのだと真正面から受け止められているのだろう。僕のよく知る彼女は、そういう芯の強い女性だった。

『しかもこれ、向けられてる悪意はお前にだぞ? 絢乃ちゃんなら、これ見た時お前のこと守ろうとするんじゃね? なぁ、お前さ、守られてばっかでいいのかよ?』 

『そりゃあ、俺だって彼女のこと守りたいよ。だからキックボクシング始めたようなもんだし。……まだ初心者だけど』

『ウソつけ。お前、絢乃ちゃんとヤる時に貧相な体じゃみっともないって思ってるだけだろ!』

『やかましいわっ!』


 ――なんていう兄とのやり取りを思い出しながら、僕はひたすらサンドバッグに向かってハイキックの特訓をしていたのだが……。ちなみにこの頃、ローキックくらいはサマになっていた。

「――うぅ……、股関節が痛い……。初心者にハイキックなんてムチャなのかな……」

 練習帰りにクルマに乗り込むと、僕は激しい筋肉痛を訴えてハンドルに突っ伏した。

「俺、こんなんで絢乃さんのこと守れんのかよ……」

 自分の不甲斐なさに泣きたくなった。こんなんだから俺、彼女に守られてばっかりなんだよな……。

 
 ――ただ、兄の予想はおおかた当たっていて、それどころか予想以上で。あの投稿を見た後すぐに調査事務所を頼り、投稿主が俳優の小坂リョウジだと突き止めたのだった。
 僕のためならどんなことでもできてしまう彼女の行動力にはいつも感服するが、この時はそれ以上に怖くなってしまった。 
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