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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
秘密の恋愛と過去との決別 A
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というわけで、品物は手頃な価格のタオルハンカチにした。あとは、絢乃さんの分のプラスアルファをどうするか……。
「絢乃さんといえば、やっぱりスイーツかな。……お? これなんかいいかもな」
ホワイトデーの贈り物を購入するため久々に入ったファンシー雑貨の店の片隅に、お菓子の売り場を見つけた。そこにはアルミホイルに
包
(
くる
)
まれた小粒のチョコレートのプラスチックケースがあり、一粒二十円で購入できるようになっていて、ハート型のチョコはキレイな桜色のアルミホイルに包まれていた。絢乃さんのお好きなピンク色だ。
僕は迷わずハートのチョコを二粒購入し、絢乃さんへの贈り物のプラスアルファにした。
* * * *
――そして迎えた三月十四日、絢乃会長は放課後の出社だった。
僕はお仕事を始めた彼女のためのコーヒーを用意しに給湯室へ行き、戻ってくると彼女は何やら英語で電話に応答されていた。
絢乃さんって英語ペラペラなんだな。羨ましい……。それも絶対にビジネス英語だ。俺なんか、大学時代に英会話スクールに通ってたけど日常会話が精一杯だぞ。
……なんて感心していると、突如会話の雲行きが怪しくなり、絢乃会長は何やら早口でまくし立てて怒ったようにガチャンと受話器を置かれた。僕が聞いた限りでは、彼女がまくし立てていたのはおそらく英語の
俗語
(
スラング
)
だ。おおよそ彼女には似合わない、品のない言い回しである。
「…………あの、会長。先ほどの電話、最後に何ておっしゃったんですか?」
「……あ、桐島さん。コーヒーありがと。あれはねぇ、英語で『おととい来やがれ』って言ったの。厳密に言うとちょっと違うけど、ニュアンスはまぁそんな感じ」
「おと……」と僕は絶句した。いつも穏やかな性格の彼女が、そんなことをおっしゃるなんて。
「会長、相当ご立腹のようですね。一体、先方はどのようなご用件で?」
「アメリカの大企業からだったんだけど、ウチのグループを買収したいって言ってきたんだよ! ホント、バカにしてるにもほどがあるよね!」
絢乃会長がご立腹なのも納得できた。
篠沢グループはまだグローバルな企業グループではないにしても、日本国内では屈指の規模を誇る財閥なのだ。絢乃さんはそんなグループの会長であることに誇りを持たれているからこそ、小もの扱いされたことに腹が立ったのだろう。
「こうなったら、何が何でもウチのグループを世界規模の大企業にしてやるんだから!」
声高らかに宣言された彼女は、いつもプライドを持ってお仕事をされているからカッコいいんだと思う。
その後、お返しを渡すためにしばらく会長室を抜け出して戻ってきた僕は、そんな彼女にスーツのポケットに忍ばせていた贈り物を差し出した。
「――絢乃さん
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