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俺様勇者と武闘家日記
第3部
グリンラッド〜幽霊船
エドの正体
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なんですよ。よろしければ差し上げますが」

 そうエドは言うが、本当はマックベルさんにプレゼントしたかったのではないだろうか。私だってもし師匠が生きていたら、今までお世話になった分、お礼をしてあげたいと思うからだ。

「ねえユウリちゃん!! あたし、マックベルさんのところに行きたい!!」

 なんて考えていたら、シーラに先を越された。そんな彼女の唐突なお願いに、ユウリは渋面を浮かべる。

「はあ? なんでいきなり……」

「同じ『賢者』だもん、会いたいと思うのは当然のことでしょ?」

「そうなのか? 俺は全く同意できないが」

 そう言ってルークを見るユウリ。彼にとっては、自分と同じ『勇者』という職業を持つルークを見ても何も思わないのだろう。けれど私も、シーラの意見には賛成だ。何故なら――。

「私もマックベルさんのところに行って、変化の杖を渡してあげたい。師匠にプレゼントを贈ろうとするエドの気持ち、何となく分かるから」

 エドの師匠が今も元気でいるかはわからない。けど、もし可能性があるなら、私はエドの思いを手助けしてあげたい。自分ができなかったから――。

「そうだね、僕も2人に賛成だな。それにミオの気持ちは、僕にもよくわかるよ」

「ルーク……」

 ルークも私と同じ師匠を持つ者同士、共感できることも多いはず。目が合うと、私の心の内を読んだのか、優しく微笑んだ。

「……」

「ひっ!?」

 なぜか突然ユウリに思いきり睨みつけられた気がしたが、気のせいだろうか? いや、あの眼光の鋭さは気のせいではない。まさか私が口を挟んだから怒ってる?

「……わかった。行きたいのなら勝手にしろ」

「え!?」

 先ほどとは一転、突き放すかのようなユウリの言い方に、私は呆気にとられてしまった。そういえば、サマンオサでルークを仲間にしたときもこんな感じだった。……そんな風に言わなくてもいいのに。

 私たちのやり取りにマックベルさんのところに行く流れだと察したのか、エドが頭を下げた。

「すみません、ありがとうございます。もし師匠のところに行くのでしたら、ここからはるか北にあるグリンラッドという島に、師匠の家があります。もし師匠に会うことがあれば、よろしくお伝え下さい」

「わかりました! 必ずマックベルさんのところに届けます」

 元気よく答えたはいいものの、本当に私たちが次の行き先を決めていいのかとヒヤヒヤしながらユウリの方を見る。けれど彼は我関せずといった様子で明後日の方を向いていた。

「どうしたの、ミオ?」

 ユウリのことをじっと見ていたからか、ルークが不思議そうに尋ねてきた。

「あ、いや、何でもないよ」

 今更ユウリの一喜一憂に顔色を窺ってるなん
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