第3部
グリンラッド〜幽霊船
エドの正体
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いなく、私が作った変化の杖です。まさか本当に取り返してくださるとは……」
その言葉に、ユウリは得意げな顔で鼻を鳴らした。
「で、元の姿に戻すには、どうすればいいんだ?」
「戻したい対象に向けて、『元に戻れ』と唱えれば、元の姿に戻ります。ユウリさん、お願いできますか?」
ユウリは無言で頷くと、杖の先端をエドの方に向けた。
「元に戻れ!」
すると、杖の先から眩い光が放射状に放ち始めた。光は目の前のエドに集中し、やがて馬の姿を覆い隠した。それからどれほど経っただろう。ようやく光が消え始めると、馬の姿は完全に消え、代わりに人影が現れた。
「これがエドの本当の姿……!?」
私の言葉が終わるとともに姿を現したのは、小柄で細身の初老の女性だった。白髪と銀髪が入り混じった髪に、色白の肌。目元が穏やかで優しそうな雰囲気を醸し出している。
服装は姿を変えられた時のものだろうか。色褪せたエメラルドグリーンのローブには、古代文字のような刺繍の装飾が散りばめられ、胸元や耳には様々な色の宝石を使ったアクセサリーが施されていた。
「ありがとう、勇者とその仲間たち。お陰で元の姿に戻ることができました」
慇懃にお辞儀をするエドの態度に調子を狂わされたのか、若干戸惑うユウリだったが、すぐに泰然とした態度を見せた。
「ふん。勇者としてこのくらい当然だ。それよりも、この変化の杖はあんたのだったんだろ? 返してやるから代わりに礼をよこせ」
そう言ってユウリはもう片方の手でなにか寄こせと言わんばかりのサインをした。せっかくエドを元の姿に戻したというのに、とても勇者が持ちかけるやり取りとは思えない。エドも明らかに呆れた目で勇者を見ている。
「申し訳ありませんが、今まで馬として生きてきた私には、あなた方に渡すような礼など持ち合わせておりません。そのくらいのこと、変化の杖を取り戻した偉大なる勇者殿がわからないわけはないでしょう?」
「……ふん、今のはただの冗談だ。まさか本気にしたのか?」
「そうとらえられてもおかしくない言い回しでしたのでね」
そう言いながら、バチバチと火花を散らせる2人。そういえばこの2人、前からあんまり仲が良くなかったんだっけ。
「元々その杖は、私の師匠であるマックベルにプレゼントする予定だったのです。と言ってももう何十年も前に約束したきりなので、師匠もきっともう覚えてないと思いますが」
「へえ、三賢者のあんたにも、師匠がいるのか?」
ナギが問うと、エドは少し自慢げな顔をした。
「ええ。ちなみに師匠も、私と同じ三賢者なんですよ」
『ええっ!?』
まさかの事実に、全員が驚く。
「なのでその杖は、今となっては私には必要のないもの
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