第3部
グリンラッド〜幽霊船
エドの正体
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いが、もしかしたらユウリやルークも多少感じ取っているのだろうか? そう思い二人の方に視線を向けると、彼らもまたナギと同じく理解できない顔をしていた。
「ふむ……、少しは聡い子がいるようですね」
『!!』
いつの間にかこちらを振り向いていたエドが静かな声で言った。私達の存在に気づいていたのか、初めて会う3人を見ても動じていない。近くまで寄ると、エドの深海の様な瞳に私たちの戸惑う顔が映し出された。
「あなたが、三賢者のエドさん?」
「はい。こんな姿ですが、一応三賢者の一人として数えられてきました。あなたは……、イグノーの後継者ですね」
少し緊張した様子のシーラが尋ねると、エドはシーラの持つ杖を見ながら答えた。シーラの杖はイグノーさんが持っていたものであり、同時にイグノーさんの意志も宿っている。もしかしたらその杖に何かを感じ取ったのかも知れない。
「あたしは、イグノーの孫のシーラです。後継者かどうかはわかんないけど、お祖父様がこの杖であたしを賢者にしてくれました」
少し自信なさげにイグノーさんの杖を振りかざすシーラ。その瞬間、エドの纏う空気が少し和らいだ気がした。
「イグノーが認めたのなら、あなたは彼の正当な後継者です。自信を持ってください。あなたは将来、語り継がれるべき存在となる可能性を秘めています」
「語り継がれるべき存在?」
「ですが、あくまで可能性の話です。イグノーが残したであろう知恵と、あなたの魔力が合わされば、我々三賢者をも上回る存在になるかもしれません。しかし、あなたがこの先賢者としてどう生きるか、世に語り継がれるべきかどうかは、あなた次第なのです」
「わ、わかった!」
エドの言葉に、シーラは決意を秘めた顔で頷いた。しかし、そんな彼女の志など知ったこっちゃないという風に、ユウリが横から割って入った。
「おい。こいつの可能性の話より、あんたに渡したいものがあるんだが」
何となく面白くない顔をしている辺り、自分より目立っているシーラに嫉妬しているのかもしれない。
「おや、これはこれは稀代の勇者殿。いつからそこにいたんですか」
皮肉交じりな言い方をするエドに、ユウリのこめかみがピクリと動いた。
「そうか。別に人間に戻りたくないのなら、この変化の杖は俺たちがもらっていく」
そう言って見せびらかすように変化の杖をエドの前に突き出すと、それに気づいたエドが慌ててユウリに迫った。
「待ってください! 本当に杖を取り返したんですか!?」
「偶然訪れた町で国を乗っ取っていた魔物が持っていた。魔物自身がこの杖を使っていたことは確認済みだ」
エドはその杖をまじまじと眺めると、感心したように大きく息を吐いた。
「これは間違
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