第七幕その六
[8]前話
「白人の人も珍しくなくて」
「それでだね」
「そうした人もいた」
「そういうことだね」
「うん、まあその人がアメリカ人だったら」
それならというのです。
「まさにね」
「そのままね」
「中尉だね」
「長崎に来ているし」
「流石にああした人だと困るけれど」
性格がというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「外見の雰囲気が中尉みたいだったんだ」
「舞台の」
「色々な人が歌ってきた役だけれど」
それでもというのです。
「設定は若いアメリカ海軍中尉でね」
「外見は整ってる感じがすることは事実だね」
「それで金髪で青い目」
「長身ですらりとしている」
「そのイメージは確かにあるね」
「それで僕も思ったんだ」
先生はシャンパンを飲んでから答えました、ゆで卵や目玉焼きやサラダも楽しんでそのうえでのことです。
「中尉の様だってね」
「成程ね」
「そういうことだね」
「先生にしても」
「そうだったんだね」
「そうだよ、けれど何故か」
こうも言う先生でした。
「運命も感じるよ」
「運命?」
「運命っていうと?」
「どうしたの?」
「うん、まだはっきり言えないけれど」
それでもというのです。
「長崎に中尉さんを思わせる人がおられるなんてね」
「何しろ蝶々夫人の舞台だしね」
「他ならない」
「佐世保にはアメリカ海軍の人達もいるし」
「やっぱり他ならないね」
「そこまで考えたら」
「運命もね」
それもというのです。
「感じるよ、若しかして」
「若しかして?」
「今度はどうしたの、先生」
「一体」
「長崎市にね」
この街にというのです。
「蝶々さんを思わせる若い女の人がおられるかもね」
「ああ、それならね」
「もうね」
「完全に蝶々夫人だね」
「そうだね」
「中尉はとんでもない過ちを犯したけれど」
それでもというのです。
「その過ちが正されるなら」
「それならだよね」
「いいよね」
「もう時代は変わって」
「幾世代も経ったけれど」
「それでもだよ」
先生はサラダを食べつつお話しました、レタスやトマトやセロリの上に白いフレンチドレッシングがかけられています。
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ