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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
抑えきれない想い A
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日までは知らなかったのだが、彼女は猫舌らしいのだ。
すると、このCMに出演される俳優さんが撮影でもリアルにキスをする人だからだというお答えが。
「だからといって、そんな
無碍
(
むげ
)
に断るなんて……。そんなの会長らしくないです」
僕は思わず、彼女に対してこんな上から発言をしてしまった。まだ出会って四ヶ月しか経っていなかった僕が、彼女の一体何を知っていたというんだろう?
「……わたしね、ファーストキスは絶対、好きな人としたいの。だから断ったの」
僕はこの返しに目をみはった。……やっぱり、彼女にはキスの経験がなかったのだ。というか、「好きな人」って言わなかったか?
「好きな人と……って、えっ? ファーストキスなんですか」
「うん」
僕の聞き間違いかと思い、改めて訊き返すと思いっきり頷かれた。 しかも、何だか僕の顔をじっと見つめられているような……。気のせいかな? 「好きな人」って、まさか僕じゃない……よな?
「……そうでしたか。それならお断りしたのも仕方ないというか、納得できますね。ですが、会長の好きな人か……」
僕はそれがまさか
本
(
・
)
当
(
・
)
に
(
・
)
自分のことだとは思わずに、ひたすらうろたえていた。
彼女の言葉を百パーセント信用できなかったというのも、ままあった。信じれば裏切られる、期待すればダメだった時にダメージを受けると、僕は日比野の件で刷り込まれてしまっていたのだ。絢乃さんだけがそうじゃないなんて、とても思えなかった。
でも、そんな挙動不審な僕を、彼女はまだ見つめていて。
「…………何ですか? 僕の顔に何かついてます?」
「えっ? ううん、何でもない!」
僕が問いかけると、慌てて目を逸らされた。これは僕に好意を持って下さっているのと、やっぱり僕のことではないのに勝手にうぬぼれていた僕に呆れていたのと、どちらの意味に捉えればよかったのだろう?
* * * *
――その日、絢乃さんをお宅までお送りした帰り、僕は恵比寿にある書店に立ち寄り、女性向けの恋愛小説がズラリと並ぶコーナーをウロウロしていた。「オフィスラブ≠ニは何ぞや?」ということを研究するのに参考になりそうな本を探していたのだが……。
「なんでこういう小説に出てくる男って、Sとか上司って大体相場が決まってんだよ……。俺、どれにも当てはまってないじゃんか」
手に取った本のページをパラパラめくっては、グチをこぼす。
僕はどちらかといえばSよりMだと思うし、絢乃さんが上司で僕は部下である。オフィスラブものの王道からは完全にズレていたのだ。
「――聞こえたわよ〜、桐島くん」
「…………ぬぉっ!? せっ、先輩! こんなところで何してんすか!」
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