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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
オフィスラブ、スタート! B
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ことで、その存在については僕も知らされていなかった。
 そこには、絢乃さんのご意志で会長の職を誰かに譲ってもいいと書かれており、まだ高校生だった彼女が会長としての重責に縛られることを源一氏は望んでいなかったのだと僕も初めて知った。彼女はそれでも会長としての責務を立派に果たしていくと明言され、加奈子さんも母親としてそんなお嬢さんを全力で支えていきたいと語られていた。
 その後の質疑応答でも、絢乃会長は一つ一つの質問に――時には少々意地の悪い質問もあったが――丁寧に受け答えされていた。その姿からは、二刀流を果たしていくことへの覚悟がポーズだけではないことをひしひしと感じ取れた。
 そんな彼女に、僕は「お疲れさまでした」の気持ちを込めて心からの拍手を送った。


   * * * *


 ――会見が終わった後、加奈子さんは「今後の打ち合わせがあるから」と、先に村上社長とご一緒に重役フロアーである三十四階へ上がって行かれ、僕と絢乃さんは二階にしばらく留まっていたのだが。絢乃さんは無事に司会の任務を終えた久保のところへ駆け寄って行った。
 ……一体、ヤツに何をおっしゃる気だろうか。僕は彼女が他の男に声をかけに行ったのが正直面白くなかったので、半ばイヤイヤながら彼女について行った。

「――あ、久保さん。司会進行お疲れさまでした!」

「会長! お疲れさまです。桐島も。わざわざどうされたんですか?」

 突然雲の上の人から声をかけられた久保は、普段の彼からは想像もつかないくらいピンと姿勢を正していた。お前、普段はそんなんじゃないだろ。っていうか桐島「も」って何なんだ。人をオマケみたいに言いやがって。

「貴方の進行がよかったおかげで、記者会見がスムーズにできました。ありがとうございました。父もよくこうして社員の頑張りを(ねぎら)っていたそうなんで、わたしもそれに(なら)ってみたんです」

 彼女がどうしてコイツに声をかけたのか疑問だったが、何のことはない。ただお父さまの葬儀に続いて司会を頑張ってくれた(少なくとも彼女の中では)この男に、労いの言葉をかけたかっただけだったのだ。今は亡きお父さまも生前そうされていたように。……嫉妬心()き出しだった俺、なんかみっともない。

「ところで、どうして広報の人間じゃなくて総務の僕が司会をやってたんだ、って思ったでしょう? 桐島、お前もそう思ったよな?」

 久保がそこで、僕と彼女もいちばん疑問に思っていたポイントを話題にした。
 僕の認識でも広報活動の一環である記者会見の司会進行は広報部の人間がやるものだと思っていたし、その点は絢乃会長も同様だった。そこへきて、どうして総務課所属のこの男がわざわざしゃしゃり出てくるんだと、僕にはそこが引っかかっていたのだが。


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