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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
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「大丈夫ですよ。僕はこう見えて、けっこうメンタル強いんで。そうでもなければ、僕はとっくに会社を辞めてます」
絢乃会長を安心させたくて、ついそんなことまで言ってしまった。
前の部署で、あんな上司の下で散々こき使われてきて、お前はよく会社を辞めずにいられたなと自分で自分に感心してしまう。何人もの同僚や先輩たちが退職していくのを身近で見てきたにもかかわらず、だ。やっぱり僕はメンタルが強靭にできているのだろうか。
でも、大好きな女性のためならどれだけ大変な仕事も苦に思わない。これはもう、愛の力としか言いようがないだろう。
それに対して絢乃さんが「桐島さん、前の部署で相当ひどい目に遭ってたんだね」と表情を曇らせておられると、加奈子さんが横から「なになに、何の話?」と口を挟まれ、首を傾げられた。加奈子さんはどうやら、総務課のパワハラの事実をご存じなかったらしい。ということは亡き源一前会長もそうだったということになる。
絢乃さんからその話を一通りお聞きになった加奈子さんは「う〜ん」と唸った後、「あら……、あなた苦労してたのねぇ」と眉をひそめられた。
「多分、あの人も知らなかったんじゃないかしら。知っていたらもっと早く助けてあげられたのに」
加奈子さんのこの言葉から、やっぱり先代はパワハラのことを把握されていなかったのだと僕は理解した。そして、彼がご自宅では会社や仕事に関する話題を避けておられたのだとも。
とはいえ、僕は異動したことで島谷課長との接点がほぼなくなり、完全に彼のターゲットからは外れたようなので、僕の中ではもう終わったも同然だった。
「いえいえ、お気になさらず。もう終わったことですから」
少なくとも自分ではそう思っていて、自分にそう言い聞かせていたので、もう蒸し返してほしくなかったというのが本音だった。
それよりも、この先絢乃会長の姿勢が世間からどのように評価されるのか、ということの方が僕には重要だった。
「――そういえば、今日の会見はTV中継されるだけでなくネットでも同時配信されるそうですよ。そしたら絢乃会長は
一躍
(
いちやく
)
有名人になりますね」
そうなのだ。僕もその朝、久保から電話で聞かされて驚いた。
ネットで配信されるということは、TV中継だけされる場合よりも世間的に注目を集めるということ。ネット社会の現代では、昨日まで一般人だった人が一夜にして有名人になり得てしまう時代なのだ。
加奈子さんも「母親として鼻が高い」と悪ノリして盛り上がっていらっしゃったが、絢乃さんはそのことに苦言を呈しておられた。「グループの評判が上がるのはいいけど、わたし個人まで有名になっちゃうのはちょっと……」と。
そして、それは僕も同感だった。彼女が大企業のトップとして表舞台に立つことは僕
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