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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
新しい日々の始まり B
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とが」と相槌を打っていると、電話の向こうから「その話はもう時効だから続けないでほしい」という加奈子さんの声が聞こえてきた。

「――それはともかく、明後日は朝十時から就任会見が開かれるんですね。スピーチの原稿は用意しておいた方がよろしいですか?」

 僕は気を取り直し、これが秘書としての初仕事だと考えて絢乃さん(ボス)にお訊ねした。
 篠沢グループほどの大企業グループで新会長就任の記者発表が行われるとなれば、当然TVやネットなどで生中継されるはずである。それだけ世間の注目を集めるトピックスなのだ。そんな(おおやけ)の場で、絢乃さんに恥をかかせるわけにはいかなかった。
 だって、彼女の会長デビュー(イコール)僕の秘書としての初陣だったのだから。

『そうだなぁ、わたしとしてはあった方が気持ち的に助かるけど。大まかな内容で作っておいてくれたら、あとは自分で考えて話すから』

 それはいかにも彼女らしい答えだった。僕もこれまで何度も彼女のスピーチや記者会見などを側で拝見してきたから分かるのだが、絢乃さんは自分のお言葉を大切にされる方だ。誰かが書いた原稿どおりに話しても、ご自身が本当に伝えたいことは伝わらないから、きちんとご自分の言葉で伝えたいのだと。お父さまも生前そうされてきたように。――それが彼女の信条(モットー)なのだという。

「かしこまりました。では、簡単な内容の原稿だけ、僕の方で作成しておきます」

 とはいえ、すべて彼女に丸投げでは僕の仕事がなくなってしまうし、彼女も負担が重いだろうと思ったので、僕はそう答えた。すると、「ありがと。じゃあよろしく」という感謝の言葉が返ってきた。
 
 電話を終えると、ちょうどケトルのお湯が沸騰していた。僕は昼食のうどんをすすり終えるとすぐ、座卓の上でノートPCを開いた。さっそく絢乃さんのためのスピーチ原稿を作成しようと思い立ったからだ。「善は急げ」というヤツである。
 彼女がどんなお気持ちで会長就任を決められたのか、またどういう覚悟を持って高校生活との二刀流に挑まれるのかを僕はすでによく理解していたので、それを文字に落とし込めばいいだけだった。あとは、それを彼女らしい誠実な内容にどうまとめるか――。
 悩んだ末に書き上げた原稿は、どうにかA4サイズの用紙二枚分にまとまった。


   * * * *


 ――その翌日の朝、珍しい人物から連絡があった。同期入社の久保である。僕が異動してからも同じ社内にはいるのだが、こうして連絡を取り合うことはなくなっていたのだ。

『――よう、桐島! 久しぶり!』

「久しぶり、ってなぁ。先代の社葬の時にも会ったじゃん」

 僕は呆れてツッコんだ。三日前に会ったばかりなら「久しぶり」とは言わないだろう。

『ん
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