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トップシークレット☆桐島編 〜お嬢さま会長に恋した新米秘書〜
秘書としての覚悟 C
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先輩も分からなかったが……。僕の感じていた限りでは、絢乃さんにも「お父さまの後を継ぐ」というしっかりした意志があるようだったので、源一氏が命を削られてまでされていたことは決してムダではなかったのだろう。現に、そのおかげで絢乃さんは会長の仕事を始められてからも困ることがなかったのだし。


「――桐島さん、今日も付き合ってくれてありがと。楽しかったよ」

 ご自宅の前で車を降りられた絢乃さんは、屈託のない笑顔で僕にお礼を言った。でも、僕はひっそりと思っていた。これってまるで、デート帰りのカップルの別れ際じゃんか。

「楽しんで頂けて何よりです。僕も忙しくなったので、毎日というわけにはいきませんが。また一緒にどこかへ行きましょうね」

「うん。あと、クリスマスイブのことだけど……」

「それは、ちゃんと予定が立ったらまた連絡を下さい。先ほども申し上げましたが、僕に気を遣われる必要はないので」

 絢乃さんと一緒に過ごせたら……というのはあくまで僕の勝手な願望というか妄想であり、特に何もなければ実家で過ごすという手もあったのだ。ただし、そこには漏れなくやかましい兄が付いてくるのだが。

「分かった。じゃあ決まったら連絡するね」

 ――絢乃さんはその後、僕のクルマが走り出すまでずっとその場から見送ってくれていた。というか、これは後々から知ったことだが、いつもそうして下さっていたらしい。


   * * * *


 ――そして、その翌朝。

「おはようございます、室長。小川先輩もおはようございます」

「おはようございます」

「おはよう、桐島くん」

 僕の出社の挨拶に最初に返事をしたのが秘書室のボス・広田(たえ)()室長。背中までの長い黒髪をひっつめ、パッと見はキツそうな顔をしているが、本当はすごく部下思いの優しい女性だ。その当時で四十二歳。どこの部署だったか忘れたが、ご主人は同じ社内にいらっしゃるらしい。ご結婚が遅かったので、まだお子さんはいらっしゃらなかった。

 そして、室長の次に返事をしてくれたのは小川先輩だ。この二人は上司と部下という関係を超えて、女性同士で馬が合うらしい。ちなみに、我が秘書室には男性社員も数人在籍しており、後に広田室長につくことになる(ふじ)()さんも僕の一つ年上の男性である。

「ちょっと桐島くん! 『小川先輩()』ってどういうことよ!? ……まぁいいや」

 気心知れた相手なので、先輩がこうして僕の言うことにいちいち茶々を入れてくるのは挨拶代わりのようなものだったし、僕もいちいち気にしていなかった。

「いいんですかい。……あ、コーヒー淹れてきましょうか? 僕も飲みたいんで」

 とはいっても、この頃はまだ自前の豆やら道
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