九話 光と闇の混ざった世界
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世界樹攻防戦のあと。
自信満々で助けるとか抜かしていた自分が、妻と娘の泣き顔を見て起きたのは、カーペンターズに乗り込んだ丁度一週間後、軍病院内部の事だった。
「何が楽勝の戦場よ!この馬鹿!」
そう言って透き通る銀髪を振り乱しながらすがるミオリネに、ジョンはただただ抱きしめ返す事しか出来なかった。
「わたち、ママのために我慢した」
「ありがとう、おいで」
落ち着くまで二人で抱きしめあったあと、お利口にスカートを握りしめて待っていた娘も抱きしめる。
久しぶりの一家団欒に、心を和ませていると、ベッド横のコールが、不意に鳴った。
妻と娘にすまないと断りを入れて、電話を取る。
「すまない、感動の再開中なんだが」
その声に返したのは、最近では珍しいアズラエルの焦った声だた。
「直ぐにテレビをつけてください。詳しい相談は明日にでも」
「ジョン?」
心配するミオリネに、アズラエルとの会話の内容を話し、テレビをつけてもらった。
聞こえたのは、最悪の情報。
「ですから、何故このようにニュートロンジャマーが地球にばら撒かれるのを軍は察知できなかったのですか?」
コメンテーターのやらしい言い方に、憤怒の表情で軍帽をかぶった将官が返す。
「宇宙から帰って来た多くの兵士たちから、現在自爆戦術に上からの一方的な意図で巻き込まれたと文句とボイコットの話が出ている。悪いがこの問題が解決するまで、軍は出せない」
結論から言えば、地球連合は『勝ちすぎた』のだ。
ボールから始まり、ガンタンク、ガンダム試作型という正史にない戦力。
それは正史では、モビルスーツと、それを操るコーディネーターに多大なアドバンテージを与え、プラントの軍であるザフトの勝利で飾った筈の戦場を、連合の被害が少ない惜敗、また場合によっては逆転して辛勝に変えてきた。
つまるところ、ここまで本体が残っていると、誰もがこう思う。
自分たちが主流だと。
自身が上に立ちたいと。
結果起こったのが、未だ戦争が終わってもいないのに起こる足の引っ張り合いである。
得られる権力、財力の多さが、多くの命を散らした後でも足の引っ張り合いを続けさせていた。
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