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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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 ――愛美は「ドキドキして眠れない……」と思いつつも、フカフカのベッドでぐっすり眠り、翌朝七時前に目が覚めた。

「わ……とうとう来ちゃった。純也さんとの初デートの日……」

 室内にある洗面台で、冷たい水で洗顔をしてパッチリと目が覚めた愛美は、クローゼットの扉を開けた。
 寮から持ってきた服はすべて、このクローゼットに移してある。ほとんどがこの家に滞在するために新しく買った服だ。

「初デートか……。今日、何着て行こうかな……」

 純也さんは基本、愛美がどんな服を着ていても「可愛い」「似合ってるよ」と言ってくれる人だけれど。デートとなると、やっぱり普段とは違う格好がしたくなる。いつもと違う自分を彼に見てほしいというのがオトメ心というものだ。

「……買ったばっかりの赤いニットワンピース、これにしよう。寒いから黒のタイツを穿いて、足元は茶色のブーツで……。あとはコートを着れば完璧かな」

 ニットワンピースはオーバルネックなので、中にピンク色のカラーシャツを着込む。第二ボタンまで開けて、身に着けたあしながおじさん≠ゥら贈られたネックレスが見えるようにした。

「ヘアメイクはまた珠莉ちゃんにお願いしよう」

 髪型はともかく、簡単なメイクくらいは自分でできるようになりたいなぁと愛美は思う。たとえば口紅を塗るくらいは……。

「――愛美さん、おはよう。昨夜はよく眠れて?」

 コンコン、とドアがノックされて、開いたドアから珠莉が顔を出した。

「おはよ、珠莉ちゃん。うん、おかげさまで。……初デートの前だし、ドキドキして眠れないかと思ったけど」

「それはよかったわ。――純也叔父さまがね、朝食は二階のダイニングで、三人だけで食べましょうっておっしゃってるんだけど。あなたもそれでよろしくて?」

「うん、いいよ。っていうか二階にもダイニングがあるんだ?」

 ダイニングルームって、一軒の家に一ヶ所しかないものだと思っていたので、愛美はまた驚いた。
 確かに昨日の今日で、珠莉の両親や祖母と顔を突き合わせて朝食……というのは愛美のメンタルにかなりの悪影響が出そうだ。特に、珠莉の母親の顔を見たら何をするか分からないので自分でも怖い。

「ええ。じゃあ、朝食は八時ごろにね。――あら、ずいぶん気合いを入れてオシャレしたのねぇ。叔父さまもきっと『可愛い』『ステキだ』って褒めて下さるわよ」

「えっ、ホントに? だといいな……。あ、珠莉ちゃん。また昨夜みたいに髪型とメイク、お願いしてもいいかな? 今日はもうちょっと簡単なのでいいから」

「よろしくてよ。じゃあ、私の部屋にいらっしゃい」

「うん、ありがと」

 昨夜と同じように珠莉の部屋へ行き、ドレッサーの前の椅子に座った愛美に、珠莉がヘアメイク
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