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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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んじゃないかな。むしろそれくらいでちょうどいい」

「えっ、ホントにそんなでいいの!?」

 愛美は思いつきで挙げただけなのに、純也さんはあっさりOKを出した。

「うん。俺、実はそういうファストフードとか、ジャンキーなのもよく食べてるんだよ。一人でも気楽に入れるしね」

「ああ……、なるほど」

 彼はお坊っちゃま育ちなのでもっとグルメなのかと思っていたけれど、意外と庶民的な食べ物も好むらしい。そういうところも、辺唐院家の人らしくないといえばらしくないかもしれない。

「そういえば、原宿に行った時もクレープ屋さんで注文が手慣れてたもんね」

「そういうこと。じゃ、行こっか。……支払いは各自で、にした方がいい?」

「そうしてもらった方が、わたしも純也さんに気を遣わなくていいからそっちの方がいいです」

 ――というわけで、二人はバーガーショップで軽めの昼食を摂った。テーブル席で向かい合い、純也さんは普通のハンバーガーを、愛美はチーズバーガーにかぶりつく。
 高くて美味しいものを食べているわけではないけれど、この方が愛美には気楽でいい。

「……あ、純也さん。口の横にケチャップついてる」

「えっ、マジで? どっち?」

「わたしから見て左側。じっとしてて、拭いてあげる」

 自分では拭こうとしない彼の顔の汚れを、愛美は甲斐甲斐しく紙ナプキンで拭いてあげた。

(……もう! 大の大人なのに世話が焼けるんだから!)

 まるで子供がそのまま大きくなったような人だと、愛美は母性をくすぐられた。三十歳の大人の男性なのに、「可愛い」と思ってしまう。

「……はい、取れた。これくらい、自分で拭けばいいのに」

「ありがとう。愛美ちゃんが世話を焼いて拭いてくれるかな、と思ってわざと拭かなかった」

「何それ?」

 純也さんの言い草が何だかおかしくて、愛美は笑い出した。
 十三歳も歳の離れた恋人と、初デートでこんなバカップルみたいなやり取りができるなんて思ってもみなかった。
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