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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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うん。緊張して寝られないかと思ったけど、ベッドの寝心地がよくて。……ところで、どこに電話してたの?」

「ふふふっ、それはお楽しみに♪ 愛美ちゃんが喜びそうなところだよ。今日も珠莉に髪型とメイクしてもらったのかい? いいね、可愛いよ」

「ありがと。今日はデート向きのヘアアレンジとメイクにしてもらいました」

 純也さんに今日も褒めてもらい、愛美は照れたように自分の髪に手を遣った。こうして毎回褒めてもらえると、オシャレのし甲斐(がい)があるというものである。

「じゃあ二人とも、テーブルに着いて。そろそろ由乃さんが朝食を運んできてくれる頃だから」

「うん」

「ええ」

 二人が席に着いたところへ、家政婦の由乃さんが若いメイドさんと二人で三人分の朝食を運んできた。

「おはようございます、みなさま。朝食をお持ち致しました」

 由乃さんがクロワッサンを山ほど盛ったバスケットと取り皿、そして二人分のコーヒーポットとカップ、珠莉用のティーポットとカップなどが載ったワゴンを、メイドさんが三人分のスープのカップとスプーン、ベーコンエッグのお皿が載ったワゴンを押してきた。

「ありがとう、由乃さん。わざわざすまないね。後はこっちでやるから」

「坊っちゃま、痛み入ります。では、私どもはこれで失礼致します」

 二人の使用人たちが下がっていくと、あとの給仕は純也さんがしてくれた。

「……ねえ、珠莉ちゃん。あの人たち、どうやってこれを運んできたの?」

「我が家にはホームエレベーターがあるのよ。それを使って運んできたの」

「へぇ、ホームエレベーターかぁ。便利だね」

 純也さんは普段からし慣れているのか、愛美たちのそんな会話を耳に入れつつ料理を愛美と珠莉・自分の前に並べ、飲み物の給仕もしてくれた。コーヒーのお砂糖は各自で好みに合わせて入れるようにしたようだ。

「――愛美さん、食べた後にまた口紅を直してあげるわね」

「ありがと、お願い」

「じゃあ食べよう。ここではマナーなんか気にしなくていいからね、普段どおりに食べてくれ」

「うん。じゃあ、いただきま〜す☆」

 愛美はまず、コーンポタージュスープに手をつけた。スプーンで(すく)って口に運ぶと、コーンの優しい甘みが口の中に広がった。

「……美味しいし、あったまる〜? なんか懐かしいなぁ」

「懐かしい?」

「うん。施設にいた頃ね、寒い日の朝ゴハンには毎回コーンポタージュが出てたの。わたし、あれがすごく好きだったんだ」

「そっか。愛美ちゃんにとってコンポタは施設の味なんだな」

「そういうこと。……ん、このクロワッサンもバターたっぷりで美味しい♪ ベーコンエッグの塩加減もちょうどいい」

 ひと
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