暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 @
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家事一切を取り仕切っております、家政婦の高月(たかつき)(よし)()と申します。何かご要望がございましたら、何なりとお申し付け下さいませ。お部屋はお嬢さまのお部屋の隣にございます、ゲストルームをご用意させて頂いておりますので」

「はい、よろしくお願いします」

 話し方からしてキビキビした印象があり、仕事はバリバリできそうだけれど何だか冷たい感じのする女性である。

(……なんか怖そうな人だなぁ。同じお家の家政婦さんだった多恵さんとは全然違う)

 愛美は早くも、この家ではのんびり寛げなさそうだな……と思った。

「由乃さん、お父さまとお母さまはどちらに? 純也叔父さまはもうお着きになっているのかしら?」

「純也坊っちゃまはまだお見かけしておりませんが、旦那さまと奥さまはリビングにおいででこざいます。大奥さまも」

(大奥さま≠チていうと……、珠莉ちゃんのおばあさま。ってことは、純也さんのお母さまか……)

 子育てをすべて多恵さんに任せていた人だと、愛美は純也さんから聞いて知っている。孫娘である珠莉のことだって可愛がってくれているのかどうか。

(はぁ……、わたし、来るんじゃなかったかな……)

 純也さんと一緒に過ごせるから……と珠莉のお誘いを受けた愛美だったけれど、すでに後悔し始めていた。


   * * * *


「――お父さま、お母さま、おばあさま。ただいま帰りました」

 ここもまたバカみたいに広すぎるリビングで、珠莉が両親と祖母に帰省の挨拶をするのを、愛美はすぐ後ろで居心地悪く見ていた。

(う〜ん……、わたしがこの場にいるの、ものすごく場違いな気がするな……)

「珠莉、おかえり」

「おかえりなさい、珠莉」

「珠莉ちゃん、おかえりなさい。今年はお友だちも一緒なのねぇ。あなたがお友だちをこの家に連れてきたのは初めてね」

 最初に挨拶を返したのが辺唐院グループの現会長である珠莉の父、二番目に挨拶を返したツンケンした女性が珠莉の母――この人も子育ては使用人に任せっきりだったと珠莉から聞いていた――、そして最後に挨拶を返し、この三人の中では唯一愛美に関心を示してくれた高齢女性が珠莉の父方の祖母だろう。

(珠莉ちゃん、おばあさまにはちゃんと可愛がってもらってるみたいだ)

「ええ、紹介しますわ。私の高校での同級生でルームメイトの相川愛美さんです。愛美さんはこの秋に作家としてプロデビューなさったばかりですのよ」

「あの、初めまして。相川愛美です。珠莉ちゃんとは一年生の頃から親しくさせて頂いてます。一応、作家としてデビューはしましたけど、まだまだ駆け出しで――」

「愛美さん、とおっしゃったわね。あなたのご両親は何をなさってる方?」

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