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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 @
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ねえ、珠莉ちゃんはスカイツリーとか東京タワーに上ったことある?」

「ええ、あるわよ。純也叔父さまに連れていって頂いたの。両親にお願いしてもダメだったから」

 珠莉の両親は子育てに消極的で、珠莉のしたいことにも関心がなかったのだろう。純也さんは珠莉のことを苦手だと言いつつも、やっぱり自分の姪ではあるので放っておけなかったのだ。

「そうなんだ。純也さん、何だかんだで面倒見いいもんね。わたしも『連れてって』ってお願いしたら連れて行ってくれるかな」

「あなたのお願いなら、純也叔父さまは何でも聞いてくれそうね。だってあなたは、叔父さまにとって特別な人だもの」

「……そうかな?」

「お嬢様、今のお言葉はどのような意味でございますか?」

 平泉さんが首を突っ込んできたので、愛美と珠莉は顔を見合わせた。果たして、愛美と純也さんが恋人同士だという事実を彼に打ち明けていいものか――。

「……あのね、平泉。愛美さんと純也叔父さまは……その」

「わたし、夏から純也さんとお付き合いしてるんです。でも、他の人には言わないで下さいね?」

「もちろんでございます、愛美様。わたくし、口は()とうございますので」

「よかった……」

 愛美はホッと胸を撫で下ろした。

 まだ自分が辺唐院家の、純也さんと珠莉を除いた人々からどう見られるかも分からないのに、そのうえ純也さんの恋人だと知られたら……。
 施設出身というだけで偏見に満ちた目で見られそうなのに、純也さんに財産目当てで近づいた他の女性たちと同じように思われたくない。自分は決してそうではないというプライドがあるから。

「わたし、純也さんから聞いてます。彼が今までお付き合いしてた女性たちはみなさん、打算で彼に近づいた人ばっかりだったって。でも、わたしは違います。わたしは純也さんというひとりの男性を、心から好きになったんです」

「さようでこざいますか。愛美様は純也坊っちゃまと……。坊っちゃまは女性を見る目がおありのようで、わたくしも安心致しました」

「愛美さん、よかったわねぇ。純也叔父さまに見初められた女性で、この平泉のおメガネに叶ったのはあなたが初めてなのよ」

「えっ、そうなの?」

「ええ。平泉は我が家の使用人の中でもっとも古株でね、おじいさまの代から辺唐院家に仕えてくれているのよ。いざとなったらおばあさまや両親にガツンと言えるのは、この平泉くらいだわ。だから、味方についてくれたことは大きいわよ」

「へぇ……、そうなんだ」

 ここへ来て、愛美と純也さんの恋愛に心強い味方ができた。

「――お嬢様、愛美様。間もなくお屋敷に到着致します」

 リムジンはいつの間にか、高級住宅地である白金台(しろかねだい)を走ってい
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