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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 @
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。じゃあこの際、純也さんがいる前で話してみるのは? わたしからも彼にお願いしてみるから。珠莉ちゃんの味方してくれるように」
愛美はここぞとばかりに珠莉を勇気づけた。あしながおじさん≠ニして愛美の夢を応援し、色々と尽力してくれている彼だ。多少なりとも自分の血を分けた姪の夢のためにも色々と根回しやバックアップをしてくれると思う。
「純也叔父さまねぇ……。そりゃあ、叔父さまが味方について下されば私も心強いですけれど」
「きっと大丈夫! 純也さんは夢のために努力してる人を絶対に見捨てないもん。わたしとかリョウちゃんの時みたいに」
心配そうに眉をひそめた珠莉の背中を、愛美は優しくポンポン叩いた。いつもはキリッとしていて自信満々に見える彼女も、こういう時は小さく弱々しく見える。
「…………まぁ、お父さまはそれで折れて下さるかもしれないけれど。問題はお母さまの方なのよ。あとお祖母さまも。あの人たちは世間体と見栄だけで生きているようなところがあるから。『モデルになりたいなんて
体
(
てい
)
裁
(
さい
)
が悪い』とか言われそうだわ」
「体裁とか、そんなこと関係ないよね。珠莉ちゃんのお母さんって、そもそも我が子に関心なさそう。純也さんも言ってたけど」
千藤農園で一緒に過ごした夏休み、彼も自分の母親――珠莉の祖母だ――のことを同じように言っていて、愛美はすごく心を痛めたのだった。
「純也叔父さまも……? そうね、お母さまとお祖母さまは似た者同士だったから、お祖母さまに気に入られたのかもしれないわ。お祖母さまが望まれるままにお父さまと結婚して、私を産んだ。でも私が女の子だったから、関心を無くされたのね。……結局、私も祖母や両親の望み通り、婿を迎えるしかないのかしら、って思っていたの」
「……珠莉ちゃん、わたしもね、施設にいる頃には思ってたんだ。わたしはこの先、高校を出るまでここにいて、弟妹たちのお世話や施設のことをしながら学校に通って、卒業したらお金のためだけに働く人生が待ってるんだろうな、って。人生なんて自分の思い通りになるもんじゃないんだ、って。……でもね、あしながおじさん≠ェ援助してくれるって分かった時、園長先生に言われたの」
「……何て言われたんですの?」
「『あなたの人生なんだから、これからはあなたの夢のために生きなさい』って。私も田中さん……おじさまも、ずっと応援してるから、ってね。だから、珠莉ちゃんの人生だってそうだよ。わたしもさやかちゃんも、純也さんだって珠莉ちゃんの夢、応援してるから。珠莉ちゃんも自分の夢のために、自分の人生を生きなよ」
その言葉を聞いて、珠莉の表情がパッと明るくなった。
「『自分の人生』……ね。そうかもしれないわ。たとえ親でも、個人の夢を理不尽に奪っていいはずが
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