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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
華麗なる一族? A
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だとしたらさ、もう引き取り手決まってないとヤバいよね」

「うん。おじさまか秘書の人から、そろそろ連絡来ると思うんだけど。――わたし郵便受け見るの忘れてたから、ちょっと見てくるね!」

「あ、待って待って! あたしも付き合うよ」

「私も一緒に参りますわ」


 ――というわけで、愛美は親友二人と一緒に郵便受けの確認に行った。すると……。

「――あ、手紙が来てる。おじさまの秘書さんから」

「やっぱ来てたねー。どうする、ここで開けてみる?」

「ううん、部屋に戻ってから開けるよ」

 愛美は早く内容を確かめたくて、早足で部屋に戻ると急いで手紙を開封した。


****

『相川愛美様。

 あなたからお願いされておりました件で、ボスよりご伝言がございます。
 〈わかば園〉の小谷涼介様の件でございますが、静岡にお住まいのご親切な夫妻に養子として迎えられたそうでございます。
 そのご夫妻はボスの古くからの知り合いでございまして、長年の不妊治療の甲斐もなくお子様に恵まれなかったようです。
 そこで、ボスから「養子を迎えるお気持ちはありませんか」と提案したところ快諾し、実際にお目にかかってみて引き取りをお決めになったそうでございます。
 涼介様はご夫妻の計らいで、静岡県にありますサッカー強豪校へスポーツ推薦枠で進学することが決まったそうでございます。
 ご報告が遅くなってしまい、申し訳ございません。きちんと決まってからお知らせした方が、愛美様も安心されるだろうとボスが申しておりましたもので。
 心優しいあなたのお願いを、ボスも私も微笑ましく思っております。もうじき冬休みでございますね。どうぞ有意義にお過ごし下さいませ。

                     久留島 栄吉』

****


「――よかった……」

 手紙を読み終えた愛美はホッとした。おじさまは――大好きな純也さんは、愛美の願いをちゃんと聞き入れてくれて、しかもいちばん安心できる方法で問題を解決してくれたのだ。

「ホントよかったね、愛美。あんたこの子のこと心配してたんでしょ? これでやっと安心して冬休み迎えられるし、執筆にも集中できるじゃん」

「執筆はともかく、冬休みはあまり安心できないかもしれませんわよ。……お誘いした私が言うのも何ですけど」

 珠莉がそこまで言うのだから、辺唐院家は本当におかしな家だということだろうか。
 これから書こうとしている小説の元ネタ、山崎(やまざき)豊子(とよこ)の『華麗なる一族』は文庫本を持っているけれど、読んだのがだいぶ前だったので詳しい内容までは愛美も憶えていない。

「……わたし、夕食前にちょっと『華麗なる一族』の本を読み直してみる」

「えっ、今か
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