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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
華麗なる一族? A
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らずっと、父と母の愛情を感じたことなんて一度もありませんでしたわ。いつも私の意思より世間体ばかり優先されて」

「でも、珠莉ちゃんには純也さんっていうステキな叔父さまがいるじゃない! それだけでも救いにはなると思うなぁ、わたし」

 愛美はさりげなくフォローを入れる。似たような境遇の叔父がいるなら、珠莉も肩身の狭い思いをせずに済むだろう。

「モデルになりたいっていう珠莉ちゃんの夢、純也さんならきっと理解して応援してくれるよ」

(だって彼は、わたしの夢も全力で応援してくれてるから)

 愛美の「小説家になりたい」という夢の後押しを最初にしてくれたのが、あしながおじさん=\―純也さんだったのだから。

「……ええ、そうですわね」

「ちょっと待って! 今の話、あたし初耳なんだけど。珠莉、あんたモデルになりたいワケ?」

「あ……、そういえばさやかちゃんは知らなかったんだよね」

 珠莉がさやかに話していなかったことが、愛美にはちょっと意外だったけれど。まぁ、この二人の関係はこんなものだろう。

「愛美は知ってたの? っていうかいつ聞いたの、その話」

「夏休みの初日、新横浜まで地下鉄で一緒になったからその時に」

「マジでー!? なんで愛美も教えてくんなかったのさ!? 知らなかったのあたしだけじゃん! 水臭いって!」

「ゴメンねー、さやかちゃん。わたしも色々あってバタバタしてたから言いそびれちゃって。珠莉ちゃん本人から聞いてるとばっかり」

 愛美は結果的にのけ者になってしまっていた親友に、手を合わせて謝った。
 色々≠ニは作家デビューが決まったり、純也さんとの恋が実ったり、奨学金の申請が通ったり、そりゃまぁ色々である。

「あたし、あんたのノロケ話よりそっちの話がもっと聞きたかったよ。っていうか二人とも立派な夢とか目標があって、あたし正直羨ましい。あたしにはそういうの、何もないもん」

「えっ、そうなの?」

 これには愛美もビックリした。さやかは陸上部でバリバリやっているアスリートだから、当然「オリンピックに出たい」とか高い目標を掲げていると思っていたのだ。

「でも陸上頑張ってるじゃない。それで世界目指したいとか思わないの?」

「それは部活だからだよ。大学に進んでからも続けようとは思ってない。どっちみちあたしの実力じゃ、世界に太刀打ちなんかできっこないもん。結局のところは大学出てからフツーに就職して、フツーに結婚するのがオチなんじゃないかな」

「そんな、夢も希望もない……」

 呟きながら、愛美は考える。立派な夢があるのに両親に反対されているであろう珠莉と、家族には恵まれているけれど特にこれといった夢も目標も持っていないさやかはどっちが幸せで、どっちが不幸な
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