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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
華麗なる一族? A
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すところはやっぱりそこなんじゃないかと思いまして」

「そうですね……、やっぱり本は出したいかな。わたしの夢を応援してくれてる人たちの目に留まるのは、雑誌より単行本の方がいいですから」

 愛美はラテをすすりながら、聡美園長や純也さん、さやかや珠莉の顔を思い浮かべる。そして、彼らが自分の著書を手に取って微笑む姿を。

「そうでしょう? まあ、出版は急ぎませんので、まずは一作お書きになってみて下さい。それまでの間は、これまで通りに短編のお仕事も並行して続けて頂くという形でいいでしょうか?」

「はい、大丈夫です。やってみます」

「学業の方もあるのに、本当に大丈夫ですか?」

 ましてや、愛美は奨学生なのだ。もちろん、彼もそのことを知っているからこその心配である。

「大丈夫。できます!」 

 せっかく与えられたチャンスを逃してなるものか! とばかりに、愛美はもう一度頷いた。

「……分かりました。もう、先生には負けましたよ! それじゃ、題材は自由ですので、先生が『書きたい』と思われた題材で書いて下さい。取材もご自分で」

「はい。任せて下さい」

「ですが、あんまりムリはしないように。いいですね? 先生の本業は、あくまでも高校生なんですから」

「分かってます。――あの、お会計はわたしが」

 愛美が伝票を取ろうとすると、岡部さんが「待った」をかけた。

「いえ、いいですよ。僕が持ちます。後から経費で落としますから」

「……ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えて」

 愛美は素直に引き下がる。
 このごろは、誰かに甘えることにあまり罪悪感を覚えなくなった自分がいる。それは、やっぱり純也さんとの出会いと関係があるんだろうか。

(そういえば、純也さんに初めて会った時は、お茶をおごってもらうのが申し訳ないって思ってたのになぁ……)

 あれからまだ一年半ほどしか経っていないというのに、人というのは変われば変わるものだ。
 あの頃はまだ、養護施設出身だという自分の境遇に多少は負い目を感じていたのかもしれない。それがなくなってきたということは、だいぶ一般社会に溶け込んできたということだともいえる。

 自分には、甘えられる相手がいる。だから、片意地はって突っ張る必要はないんだ、と。

「――それじゃ、失礼します」

 まだ昼下がりで外は明るいけれど、早く寮に帰って親友二人にこのことを知らせたい。電話でもメッセージでもなく、顔を見て。

「今日はわざわざ横浜まで来て頂いて、いいお話まで頂いてありがとうございました。東京まで気をつけて。――編集者さんって大変ですね」

「いえいえ! 仕事ですから。それじゃ、また短編の仕事の時に」

「はい」

 店を出たと
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