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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
華麗なる一族? @
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だか、部屋の中の空気も少し穏やかになったようだ。

(どうか、珠莉ちゃんの恋もうまくいきますように! ご両親がどうか折れて下さいますように!)

 愛美は珠莉と治樹さんの幸せを、心から祈っていた。


   * * * *


 ――夕食後。愛美は考えていた通り、あしながおじさん≠ノ手紙を(したた)めた。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 わたし、今年の冬休みは埼玉のさやかちゃんのお家じゃなくて、東京にある珠莉ちゃんのお家で過ごすことになりました。
 珠莉ちゃんが招待してくれたんです。「我が家にいらっしゃいよ」って。
 さやかちゃんは残念がってましたけど、「やっぱり埼玉より東京の方がいいよね」って、最後には折れてくれました。
 だって、東京には純也さんもいるから! でも、彼はご家族と仲がよくないって聞いてたので、この冬もご実家に帰られるかどうかは分かりませんでした。
 で、彼に電話してみたら、わたしが行くならたまには実家に帰ってみようかなって。家族とうまくやれるかどうかは分からないけど、もしわたしに何かあった時には盾になるって言ってくれました。
 本当は、わたしもあんな大きなお屋敷に行くのは気がひけるんですけど。純也さんもいてくれるなら心強いです。
 ところでおじさま、珠莉ちゃんのお家に行くにあたって、わたしには困ってることがあるんです。それは、あのお屋敷で開かれるクリスマスパーティーのドレスコードなの!
 わたし、そんな立派なパーティーに着て行けるようなドレスなんか持ってないし、お小遣いで買えるようなものでもないし……。
 そこで、おじさまに初めてのおねだりしちゃいます! わたしのために、ドレスとか靴とか、パーティー出席のために必要なものをそろえて下さいませんか? おじさまのセンスにお任せしますから。
 もし、おじさまが「それならやめた方がいい」っておっしゃるなら、わたしは珠莉ちゃんのお家じゃなくてさやかちゃんのお家に行くつもりです。でも、珠莉ちゃんのお家に行くのに賛成して下さるなら、どうかわたしのお願いを聞いてくれませんか?
 まだ日にちに余裕はあります。わたし、待ってますから。

                 十一月二十八日       愛美 』

****



 書き終えた手紙を読み返し、愛美は思わず吹き出した。

「この手紙ってなんか、圧がスゴいな。念押ししてるみたい」

 相手が純也さんだと分かっているから、お願いしている部分以外は彼と電話で話したことの再確認みたいな内容になっている。――たとえば、「『盾になってくれる』って言ってたよね?」みたいな。
 愛美は他人行儀に書いたつもりだけれど、読む側
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