暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ A
[8/12]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
さん≠ノも、同じような文面の手紙を書き送った。
彼からはまだ返事が来ていないけれど、純也さんからはすぐに返信が来た。
『よかったね、愛美ちゃん。おめでとう!
僕も嬉しい☆ 田中さんもきっと喜んでくれてるよ。
ただ、ちょっと淋しいとは思ってるかもしれないけどね(^_^;)』
(――純也さん、心の声がダダ漏れ……)
この返信を見た時、彼があしながおじさん≠フ正体だと確信している愛美は苦笑いしたものだ。
やっぱり、自分が愛美のためにできることが減ってしまうのは、彼としても淋しいらしい。
「――そういえば、珠莉ちゃんは夏休み、どうだったの? 治樹さんには会えた?」
寮に帰る道すがら、愛美は珠莉に訊ねてみた。
「…………ええ。早めにグアムから帰国できたから、
丸ノ内
(
まるのうち
)
を一人で歩いていたら、スーツ姿の治樹さんにお会いできましたの」
「スーツ姿? ああ、就活か」
さやかは自分の兄の年齢を思い出して、納得した。治樹は大学四年生。ちょうど就活に追われている時期である。
「にしても、お兄ちゃんがスーツ姿……。想像つかないわ」
「……それはともかく! 私が話しかけたら、治樹さんも私のことを覚えていて下さって。『連絡先を交換して下さい』って言ったら、OKして下さったんですの!」
珠莉はさやかに咳払いした後、続きを一気にまくし立てた。よっぽど嬉しかったらしい。
「へぇ、意外だったなぁ。お兄ちゃんが珠莉と付き合う気になったなんて。もう愛美のことはふっ切れたってことかな?」
「うん、そうなんじゃないかな。治樹さんもやっと前に進む気になったんだよ、きっと」
愛美には純也さんという恋人ができた。珠莉と治樹さんにも、やっと春が訪れたということか。――あと残すはさやか一人だけだけれど……。
「――あ、ちょっと待ってて。郵便受け見てくるから」
もしかしたら、あしながおじさん≠ゥらの返事が来ているかもしれない。そう思って、愛美は自分の郵便受けを開けてみたけれど――。
「来てないか……」
他に来る郵便物もないので、郵便受けの中は空っぽだった。
(今更反対する理由もないから、返事を下さらないのか。それとも……)
純也としてちゃんと「返事」を送ったから、あしながおじさん≠フ返事は必要ないと思って出さないのか……。
愛美は後者のような気がしてならなかった。
* * * *
「――ねえ、珠莉ちゃん。純也さんのことで、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」
愛美は部屋に戻ると、意を決して珠莉に声をかけた。
訊きたいこと≠ニはもちろん、純也さんのこと。彼について訊ねるなら、彼の親戚である珠莉が一
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ