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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ A
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純也さんと一緒にいる時でさえ、いつ連絡が来るかとソワソワしていたものである。
もちろん、奨学金を受けられることが決まったからといって、それがゴールではない。この先、ずっと優秀な成績を取り続ける必要がある。――けれど、元々成績優秀な愛美にはそれほど厳しいことではない。
「――あ、おじさまに報告しなきゃ! それとも、純也さんに連絡するのが先かな」
愛美は考えた。もしも純也さんとあしながおじさん≠ェ別人だったら、両方に知らせる必要があるけれど。
(もし同一人物だったら、わざわざ手紙で知らせる必要はなくなるってことだよね……)
愛美も本当はそうしたい。でも、それでは彼の方が不審がるかもしれない。
だって彼は、まさか愛美が自分の秘密に気づいているとは思っていないだろうから。それに、気づいていないフリをすると決めたのに、それでは意味がないし。
「とりあえず、先に純也さんに知らせて、その反応を見てからおじさまに手紙を書こう」
悩んだ末、最終的に愛美が出した結論は、これだった。
* * * *
――九月に入り、二学期が始まった。
「なんかあっという間だったねー、今年の夏休みは」
二学期初日の終礼が終わり、さやかが教室を出る前に大きく伸びをした。
「さやかちゃん、インターハイお疲れさま。残念だったねぇ……、せっかく頑張ってたのに」
「うん……。まあ、しょうがないよ。上には上がいたってことだもん。また来年があるし、秋にも大会あるからさ」
「そうだね」
――さやかは陸上競技のインターハイで、無事に予選は突破したものの、決勝では思うように記録が伸びずに六人中五位の成績に終わったのだ。
「っていうかさ愛美。ヘコんでる時に、電話で延々ノロケ話聞かされたあたしの身にもなってよねー」
「……ゴメン。嬉しくてつい」
愛美はさやかにペロッと舌を出して見せる。
「まぁねー、初めて彼氏ができて、しかも初キスまでして。その喜びを誰かに聞いてほしいってのは分からなくもないんだけどさ」
「うん、まぁ。――あ、あとね。奨学金受けられることになったんだ、わたし」
「へぇ、そうなんだ? よかったじゃん、愛美!」
「うん! もう純也さんとおじさまには報告してあるんだ」
――愛美は長野を離れる前に、純也さん宛てにこんなメッセージを送っていた。
『純也さん、嬉しい報告☆
学校の事務局の人から連絡があって、わたし、奨学金を受けられることになったの!(*≧∀≦*)
その分、学校では優秀な成績をキープしなきゃいけないけど、わたしなら大丈夫!
二学期からも頑張ります♪ もちろん、小説家になる夢もね。』
あしながおじ
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