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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ A
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、純也さんがおじさまなら知ってるはずだよね。わたしが勉強できる子だって)

 内心ではそう思いながら、愛美は澄まし顔で純也さんにそう言ってのけた。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 今年の夏も毎日暑いですね。お元気ですか? わたしは元気です。ちょっと熱中症にはなりかけましたけど……。
 今日の午前中、千藤さんのお家の庭で、純也さんと二人でキャッチボールをしました。そのキッカケは、彼が「屋根裏部屋を久しぶりに見たい」って言ったからなんですけど。
 おじさまは憶えてますか? 去年の夏休み、わたしが「この家の屋根裏部屋に野球ボールとグローブが置いてある」って手紙に書いたのを。実はそのグローブ、大小二つあったんです。
 純也さんは昔、このお家に来てた頃によくキャッチボールをしてたんだそうです。相手はなんと多恵さん! 善三さんともやってたそうなんですけど。
 何でも、多恵さんは学生時代、ソフトボール部に所属してたらしいんです。純也さん曰く、多恵さんも昔はスラッとしてて、スポーツ万能だったんだとか。今はあんなにふくよかな多恵さんがですよ? おじさま、信じられますか?
 それはともかく。今日は朝からよく晴れてたので、わたしから「キャッチボールしよう」って純也さんに言いました。
 日本人メジャーリーガーの大谷(しょう)(へい)選手並みの純也さんの投球をキャッチしたら、彼はすごく驚いてました。そして、わたしが投げ返した球の速さにも。「なかなかいい球投げるね」って。
 〈わかば園〉にいた頃、わたしはよく弟たちの球技の練習に付き合ってあげてました。多分、それで上手くなったんじゃないかな。だからわたし、野球だけじゃなくてサッカーとかバスケットボールとか、球技全般が得意なんですよ、実は。って、おじさまはもうご存じですよね。
 でも、ピーカンで暑い中ずっと屋外にいたので、わたしがちょっと具合が悪くなっちゃって。そこでキャッチボールは打ち切りになっちゃいました。
 誘ったわたしの自業自得なのに、純也さんが責任感じちゃって。「大人の自分が先に気づいてあげるべきだったね」って。彼ってホントに優しい人!
 そんなわけで、午後からは二人で屋根裏部屋で過ごしました。読書をしたり、彼にアドバイスをもらいながら新作の小説の下書きを書いたりして。途中、一度キッチンまで下りて行った純也さんが、多恵さんがわたしのために作ってくれた冷たいスムージーを持ってきてくれました。「具合の悪い時は、ちゃんと栄養を摂った方がいいから」って。
 淡いオレンジ色のスムージーは、カボチャやニンジン、パプリカなどの野菜がベースになっていて、桃やバナナなどのフルーツも入っていて、それを冷たい牛乳と氷で割ったもので、甘くてスッキリした味で飲みやすかったです。
 純也さん
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