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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ A
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感心した。

「それは褒めすぎだって、愛美ちゃん。彼の方が僕より身長も高いし、体型もガッシリしてるじゃないか」

「そうだけど、わたしには純也さんも彼とおんなじくらいカッコよく見えるから――、あれ?」

 そう言った次の瞬間、愛美は目眩(めまい)を起こした。 

「大丈夫か、愛美ちゃん!」

 倒れかけた彼女を、慌てて駆け付けた純也さんが抱き留めた。

「うん……、ありがとう。大丈夫。ちょっとクラーッとなっただけ」

「軽い熱中症かなぁ。ちょっと日陰で休憩しようか」

 純也さんに支えてもらいながら、愛美は涼しい日陰へと移動した。
 
「――はい、これで水分補給しなよ。よく冷えてるから保冷剤代わりにもなるしね」

「あ……、ありがと」

 愛美は冷たいスポーツドリンクのペットボトルを受け取ると、まずは火照った首筋に当てがった。それだけで、体にこもった熱と汗がスッと引いていく。
 そしてキャップを開け、ゴクゴク飲んだ。

「ゴメンねー、愛美ちゃん! 目眩起こす前に、大人の俺が気づいてあげるべきだったよな」

「そんなことないよ。こんな暑い日にキャッチボールしようなんて言い出したわたしが悪いんだもん。っていうか純也さん、久しぶりに『俺』って言ったよね」

 水分補給をして熱も冷めた愛美は、そういう話もできるくらい元気を取り戻していた。

「……えっ? あれ、そうだっけ?」

「うん、そうだよー。多分、珠莉ちゃんたちと一緒に原宿に行った日以来じゃないかな」

 あの日以降、純也さんは「僕」としか言わなくなっていた。愛美と二人っきりだから、彼は()の自分を出せたのかもしれない。

「そっか……。いや、珠莉の前ではよく『俺』って使うんだけどな。愛美ちゃんが俺に敬語なしで話せるようになったのと同じかな、理由は」

 それは年の差を超えて、心が通じ合ったからなのかなと愛美は思った。

「ね、純也さん。これからはもっともっと『俺』って言ってほしいな。珠莉ちゃんの前だけじゃなくて、わたしと一緒の時にも」

 珠莉は彼の姪だから、いやでも素が出てしまうのかもしれない。でも、これからは彼女≠ノなった愛美にも飾らない彼自身を見せてほしい。

「うん、分かった。まあ、できる限り頑張ってみるよ」

「えーー? それってどっちなのー?」

 愛美はブーイングしながらも、彼と一緒に過ごせる時間がすごく愛おしく感じていた。

「――これ以上外にいたら、俺まで熱中症になりそうだな。もうじき昼食の時間だし、そろそろ家の中に戻ろうか。午後は屋根裏部屋で読書でもして過ごすか。愛美ちゃんの宿題を見てあげてもいいし」

「残念でした。宿題はもう終わっちゃってるんで」

(……っていうか
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