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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ @
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「よし。東京に帰ったら、家具屋で小さなテーブルを買ってこっちに送るとしよう」

 けっこう真剣に純也さんが言うので、愛美は吹き出した。

 愛美はしばらくカーペットの上に座り、クッキーをつまみながらカフェオレをすすって、原稿を読む純也さんの姿を見ていたけれど。何となく手持ち無沙汰になってしまった。
 スマホは自分の部屋に置いてきたし……。

「――ねえ純也さん。まだかかりますよね?」

「うん、多分ね。どうして?」

 原稿から目を離さず、純也さんが答える。

「ちょっと、さやかちゃんに電話してこようかと思って。――いいですか?」

「いいよ。行っておいで」

「じゃあ……、ちょっと失礼して。そんなに長くはかからないと思います」

 ――愛美は自分の部屋に戻ると、スマホでさやかに電話をかけた。

『ああ、愛美。メッセージ見たよ』

「うん、知ってる、ちゃんと返信来てたし。――今大丈夫? もうすぐ消灯でしょ?」

『大丈夫だよ。長電話しなきゃね』

 それなら大丈夫だと、愛美は返事をした。そんなに長々とするような話でもないし。

「あのね、さやかちゃん。……もしかして、怒ってる?」

『はぁ? 別に怒ってないよ。なんで?』

「なんか、さっきもらった返事が……。なんていうか、『リア充爆発しろ!』的な感じだったから。ちょっと違うかもしんないけど」

 愛美がそう言うと、さやかはギャハハと笑い出した。

『違うよー。あたし、マジで嬉しかったんだから。愛美の初恋が実って、親友としてめっちゃ嬉しかったんだよ。それはアンタの考えすぎ』

「ああ、なんだ。よかったぁ。でも、やっぱりさやかちゃんの言う通りだったね」

『純也さんがもう告ったも同然だってハナシ? だって、見りゃ分かるもん。純也さん、愛美にゾッコンだったじゃん。……あれ? アンタは気づかなかったの?』

「……うん、あんまり。そうじゃないかって薄々思ったことはあるけど、わたしの思い過ごしだと思ってたから」

 全然、といったらウソになる。でも、自分に限って……と考えないようにしていたというのが本当のところで。

『おいおい、アンタどんだけ自分に自信ないのよ。誰が見たって純也さんの態度は、好き好きオーラ出まくってたって』

「…………う〜〜」

『んで? 両想いになってどうした? もうキスとかしちゃってたり?』

「まだしてないよ! さやかちゃん、面白がってない?」

 まだ≠ヘ余計だったかな……と思いつつ、愛美はさやかに噛みついた。……まあ、純也さんはいきなりがっついてくるような人じゃないと思うけれど。

『うん、ぶっちゃけ。だって面白いもん、アンタがうろたえてるとこ。――っていうか、純也さん
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