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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ @
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ん、愛美ちゃんに手をお出しになったんじゃないでしょうね? お預かりしてる大事なお嬢さんで、しかもまだ未成年なんですから。傷ものにしてもらっちゃ困ります!」
「おいおい! 多恵さん、ずいぶんな言い草だな……。――実はさ、僕と愛美ちゃんは付き合うことになったんだ」
ね? というように、純也さんは愛美を見た。
「……はい、そうなんです。純也さんもわたしのこと好きだったみたいで。手は……出されてない……と思います。キス……したくらいで?」
愛美は純也さんの視線に圧を感じたわけではないけれど、「話していいのかなぁ」と思いながら、しどろもどろに多恵さんに話した。
「あらまあ、そうだったんですか! よかったわねぇ、愛美ちゃん。個人的に連絡を取り合うようになったって言ってたのは、そういうことだったんですねぇ……」
「うん。僕はね、彼女が未成年ってことや、十三歳も年が離れてることもあって、告白するのをためらってたんだけど。彼女が『それでもいい』って言ってくれたから」
純也さんは純也さんで悩んでいたんだと、愛美は昨晩知った。だから、「それでもいい」と言った愛美の言葉がどれだけ彼の救いになったか、彼女には分かる。
「ええ、ええ。キスなんて手を出したうちには入りません! 法に触れるようなことさえしなきゃいいんです。その代わり坊っちゃん、愛美ちゃんを泣かせるようなことがあったら、その時は私が許しませんよ!」
「分かってるよ。っていうか、多恵さんは一体どっちの味方なんだ」
「多恵さん、わたしのお母さんみたい」
多恵さんの熱のこもった演説に純也さんは呆れ、愛美は笑った。
これじゃあまるで、娘に彼氏ができた時の母親みたいだ。さしずめ、純也さんがその彼氏というところか(まあ、実際に彼氏になったのだけれど)。
「それより多恵さん、早く朝食にしてくれよ。僕も朝寝坊して、今すごく腹ペコなんだから」
「わたしも。お手伝いすることがあったら、何でも言って下さい」
「はいはい。――あ、愛美ちゃんは座ってていいわよ。すぐできますからね」
多恵さんがそう言うので、愛美は素直にその言葉通りにした。他の人たちの朝食はもう済んでいるようで、今テーブルについているのは愛美と純也さんの二人だけだ。
「愛美ちゃん、あのさ。……僕に
幻滅
(
げんめつ
)
した? いきなり『キスしたい』なんて言って」
二人きりになったからなのか、純也さんがばつの悪そうな顔でそう切り出した。実はあのことを、かなり気にしていたらしい。
「そんな……。幻滅なんかしませんよ。そりゃあ……、もっと強引だったら幻滅しちゃってたかもしれないけど」
愛美は思いっきり否定した。あんなに優しいキスで幻滅していたら、恋なんてしていられな
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