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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
疑いから確信へ @
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るよ』

『はい。わたし、これだけは断言できますから。純也さんの家柄とか財産とか、わたしはまったく興味ないです。わたしが好きになったのは、純也さんご自身ですから!』

 愛美は胸を張って言いきった。
 お金なんて、生活していくのに必要な分さえあればそれで十分。彼は「人並みの生活」ができるように努力している人だ。たとえ将来お金持ちじゃなくなってしまったとしても、彼ならきっと(たくま)しく生きていけるだろう。

 そんな彼女に、純也さんはもう一度「ありがとう」と言った――。


   * * * *


 そんなやり取りを思い出しながら、愛美は幸せを噛みしめていた。
 すると、さやかからメッセージの返信が。


『やったね! 愛美、おめ〜〜☆\(^o^)/ 
っていうかノロケ? コレ聞かされたあたしはどうしたらいいワケ??(笑)』 


「さやかちゃん……、ゴメン!」

 文面からは、さやかが喜んでいるのか(これは間違いないと思うけれど)怒っているのか、はたまた困っているのか読み取れない。
 でも夏休み返上で寮に残って部活に励んでいる彼女には、ちょっと面白くなかったかも……と思ったり思わなかったり。

「あとで電話した方がいいかも」

 こういう時は文字だけのメッセージよりも、電話で生の反応を聞いた方が分かりやすい。

「――そういえば純也さん、まだ起きてるのかな」

 愛美はスマホで時刻を確認してみた。九時――、まだ寝るのには早い時間だ。
 帰ったら小説を読ませてほしい、と純也さんは言っていた。もしかしたら、起きて待っていてくれているかもしれない。
 辛口の批評はできれば聞きたくないけれど、「彼に自分の原稿を読んでもらえるんだ」という嬉しい気持ちもまぁなくもない。ので。

「緊張するけど、約束だし。早い方がいいもんね」

 愛美は書き上がっている四作分の短編小説の原稿を持って、リラックスウェアのまま部屋を出た。そして、純也さんのいる隣りの部屋のドアをノックする。

「はい?」

「あ……、愛美です。今おジャマして大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。入っておいで」

 純也さんの許可が出たので、愛美は「おジャマしまーす」と言いながら室内へ。
 彼はノートパソコンを開いて、何やら険しい表情をしていたけれど、愛美の顔を見ると笑顔になってパソコンを閉じた。

「ゴメンなさい。お仕事中でした?」

「いや、今終わったところだよ。急ぎの件があったから、メールで指示を出してたんだ。――ところで、どうしたの?」

「小説を読んでもらおうと思って。約束だったから」

 愛美は大事に抱えていた原稿を、彼に見えるように(かか)げて見せた。原稿はひとつの作品ごとにダブル
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