暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
純也の来訪、再び。
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乗って三〇一号室へ。そこが愛美たちの部屋である。
「――晴美さん、純也叔父さまに見とれてらしたわね」
「単なる目の肥やしじゃないの? イケメンは目の保養になるからさ」
(イケメン……)
エレベーターの中でさやかと珠莉のガールズトークを聞きながら、愛美は自分より四十センチも背の高い純也さんの横顔をおそるおそる見上げた。
ちょっと切れ長の目に、すっと整った鼻筋。シャープな
輪郭
(
りんかく
)
。――なるほど、確かにイケメンだ。晴美さんがうっとり見とれてしまうのも分かる。きっと、他の女性もそうだろう。
(でも、わたしは彼を顔だけで好きになったんじゃないもん)
もちろん、彼がセレブの御曹司だからでもない。彼の内面にある優しさや穏やかさ、時々見せてくれる無邪気さに、愛美は惹かれたのだ。
「……? どうかした?」
あまりにも夢中になって見つめていたら、ふと視線が合ってしまった。
「あ……、いえ。何でもないです」
愛美ひとりが気まずくなって、ごまかしながら視線を落とした。
恋愛経験が皆無で、異性に免疫のない愛美は、まだ男性と目が合うことに慣れていないのだ。
純也さんはそれなりに女性との交際歴もあるようだから、これくらい何ともないだろうけれど……。
――エレベーターを降りてすぐ目の前が三〇一号室だ。
「さ、叔父さま。ここが私たちのお部屋ですわ」
珠莉が先頭になって叔父を勉強スペースに案内し、愛美たちはフローリングの上にスクールバッグを下ろした。
「――さて、紅茶を淹れる前にケーキを切り分けようか。この部屋に包丁かナイフはある?」
「あ、果物ナイフならありますよ。キッチンはこっちです」
「ありがとう。じゃあ、それを使わせてもらうかな」
純也さんは愛美に案内されて、勉強スペースの隅に
設
(
もう
)
けられた小さなキッチンへ。
そこにあった果物ナイフを持って、テーブルの場所に戻ってきた。
「純也さん、お皿とフォーク出しときました」
「ああ、ありがとう。――えっと、君は……」
「自己紹介がまだでしたよね。あたし、珠莉とは二年連続でルームメイトになった牧村さやかっていいます」
「さやかちゃん、だね。よろしく。さっき、チョコレートケーキって聞いてすごく喜んでたね。チョコ好きなの?」
「え……、はい。見られてたんだ……」
純也さんに笑いながら訊かれたさやかは、愛美とは違って恥ずかしさに赤面しながら呟く。
恥ずかし過ぎて自らも笑い出した彼女につられて、キッチンでお茶の準備をしていた愛美も珠莉も笑い出し、室内は
和
(
なご
)
やかな空気に包まれた。
「――さて、切り分けようか」
ジャケットを脱ぎ、ブルーのカラーシャツの
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