暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
バイバイ、ネガティブ。
[4/11]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
…えっ? ええ……」
突如巻き込まれた珠莉は一瞬戸惑ったけれど、実はさやかの言った通りだったらしい。
「もう。しょうがないなあ、二人とも。じゃあ、寮に帰ろう。着替えたらすぐ行くから」
やり方は不器用ながら、二人は懸命に自分を励まそうとしてくれている。それが分かった愛美は、二人の親友の提案に乗ることにしたのだった。
* * * *
――それから一週間が過ぎ、学年末テストも無事に終わった。
けれど、愛美の体調は無事ではなく、テスト期間中から
喉
(
のど
)
をやられているのかゴホゴホと咳込んでいた。
「大丈夫、愛美? カゼでも引いた?」
「ううん、大したことないよ。ちょっと喉の調子が悪いだけ」
ムリしてさやかに笑いかける愛美だけれど、実は喉の痛みだけでなく頭痛にも悩まされていた。
「そう? だといいんだけどさ。――それにしても、愛美はやっぱスゴいわ。今回はとうとう学年でトップ
5
(
ファイブ
)
に入っちゃったもんね」
「……まあね」
今度こそ、あしながおじさん≠ノ自分の頑張りを褒めてもらいたくて、愛美は必死に頑張ったのだ。たとえ、少々体調が
優
(
すぐ
)
れなくても。
ただ――、体調が悪い時、人とは得てしてネガティブになるもので。
(もし、これでもおじさまに褒めてもらえなかったら……? もしかしてわたし、やっぱりおじさまに迷惑がられてる?)
少なからず、愛美には自覚があった。
考えてみたら、勉強に関することはほとんど手紙に書いたことがない。身の回りに嬉しい出来事や何かの変化があるたびに、手紙を出しては彼を困らせているのかもしれない。
最初に「返事はもらえない」と、聡美園長から聞かされていたのに……。
(わたしって、おじさまにとっては迷惑な構ってちゃん≠ネのかも)
「――愛美、どした? 具合悪いの?」
一人で黙って考え込んでいたら、さやかが心配そうに顔色を覗き込んでいる。
「ううん、平気……でもないか。わたし、ちょっと思ったんだよね」
「ん? 何を?」
「おじさまは、いつもわたしの出した手紙、ちゃんと読んでくれてるのかな……って。もしかしたらうっとうしくて、読みもしないでゴミ箱に直行してるんじゃないか、って」
こういう時には、最悪の展開しか思い浮かばなくなる。
「秘書の人からは返事来てたけど、おじさまからは一回も来てないんだよ? もしかしたら、秘書の人は読んでくれてても、おじさまは読もうともしてないとか――」
「……愛美、怒るよ」
愛美のあまりのネガティブさに、さすがのさやかも見かねたらしい。眉を吊り上げ、静かに愛美のネガティブ発言を遮った。
「おじさまは、あんたの一番の味方のはず
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ