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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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 おみくじもなければ縁起物もない、露店すら出ていない、本当に小さな神社だった。でも、そこにお参りしなければ新しい年を迎えた気がしなくて、愛美もそれがお正月の恒例行事のように思っていた。

「――さて、お腹もすいたし。そろそろ寮に帰ろっか」

「そうだね」

 ――寮の部屋で着替えて食堂に行き、お昼ゴハンを済ませると、愛美はさっそくさやかの家に招かれたことを報告する手紙をあしながおじさん∴カてに(したた)めた。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 期末テストも無事に終わって、わたしは今回も十位以内に入りました。
 そして、学校はもうすぐ冬休みに入ります。それで、さやかちゃんがわたしを「冬休みはウチにおいで」って誘ってくれました。
 さやかちゃんのお家は埼玉県にあって、ご両親とお祖母さん、早稲田大学三年生のお兄さん、中学一年生の弟さん、五歳の妹さん、そしてネコ一匹の大家族です! ものすごく賑やかで楽しそう!
 わたし、この高校に入ってからお友達のお家に招かれたのは初めてなんです。それでもって、お友達のお家にお泊りするのは生まれて初めてです。わかば園では、学校行事以外での外泊は禁止されてましたから。
 さやかちゃんのお父さんは小さいけど会社を経営されてて、クリスマスは従業員さんのお子さんを招いてクリスマスパーティーをやるそうですし、お正月にはご家族で川崎大師に初詣に行くそうです。さやかちゃんだけじゃなくて、ご家族もわたしのこと大歓迎して下さるそうです。
 わたし、さやかちゃんのお家に行きたいです。おじさま、どうか反対しないで下さい。お願いします!

             十二月十六日        愛美  』

****


 ――それから四日後。

「……ん?」

 寮に帰ってきた愛美は、郵便受けに一通の封筒を見つけて固まった。

(久留島さん……、おじさまの秘書さんから? まさか、さやかちゃんのお家に行くの反対されてるワケじゃないよね?)

 差出人の名前を見るなり、愛美の()(けん)にシワが寄る。

「どしたの、愛美?」

 そんな彼女のただならぬ様子に、さやかが心配そうに声をかけてきた。

「あー……。おじさまの秘書さんから手紙が来てるんだけど、なんかイヤな予感がして」

「まだそうと決まったワケじゃないじゃん? 開けてみなよ」

「うん……」

 さやかに促され、愛美は封を切った。すると、その中から出てきたのはパソコンで書かれた手紙と、一枚の小切手。

「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……、十万円!?」

 そこに書かれた数字のゼロの数を数えていた愛美は、困惑した。
 毎
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