暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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うだよね……。それはともかく、わたしはさやかちゃんのお家に行ってみたいな。おじさまに許可もらわないといけないかもだけど」

 きっと、おじさまも反対しないだろうと愛美も思っていた。
 彼女の手紙から、あしながおじさん≠ェ受けているさやかへの印象は、好ましいものでしかないだろうから。

「わたし、さっそくおじさまに手紙書くよ。返事来なかったらOKだと思うから」

 あの久留島秘書のことだから、反対だとしたらまたパソコン書きの手紙を送りつけてくるだろう。――ひどい言い草だけれど。

「分かった。じゃ、分かり次第、あたしも実家に連絡する。一緒に来られるといいね。きっとウチの家族、愛美のこと大歓迎してくれるよ」

「うん! わたしも楽しみ!」

(おじさまが、偏屈な分からず屋じゃありませんように……!)

 愛美は心の中でそう祈った。そして、もしも彼がそういう人だったら縁切ってやる、と的外れなことを誓ってもいた。

(実際には縁切らないけど。っていうか切れないし)

 愛美の学費や寮費は彼が支払ってくれているのだ。万が一縁を切ったらどういうことになるかは、愛美自身がよく分かっている。

「――ところで、珠莉は冬休みどうすんの? また海外?」

 さやかがやっと思い出したように、珠莉に話を振った。

「いいえ。我が家は毎年、クリスマスから新年まで、東京の家で過ごすことになってますの。一族のほぼ全員が屋敷に集まるんですのよ」

 愛美はその光景を想像してみた。――〈辺唐院グループ〉の一族、その錚々(そうそう)たる顔ぶれが一堂に会する光景を。

(……うわぁ、なんかスゴい光景かも)

 でも、その中にあの純也さんがいる光景だけは、どうしても想像できない。

「……ねえ珠莉ちゃん。純也さんも来るの?」

「いいえ、純也叔父さまはめったに帰っていらっしゃらないわね。叔父さまは一族と反りが合わないらしくて。タワーマンションで一人で暮らしてらっしゃるわよ」

「へえ……、一人暮らしなんだ」

 彼がひとクセもふたクセもありそうな(あくまでも、愛美の想像だけれど)辺唐院一族の中にいる姿も想像できないけれど、タワーマンションでの暮らしぶりもまた想像がつかない。

(ゴハンとかどうしてるんだろう? もしかして、料理上手だったりするのかな?)

 まあ、お金持ちだからそうとも限らないけれど。外食とかケータリングも利用しているだろうし。

「ウチはねえ、毎年お正月は家族で川崎(かわさき)大師に(はつ)(もうで)に行くんだよ。愛美も一緒に行けたらいいね」

「うん」

 初詣といえば、愛美も〈わかば園〉にいた頃には毎年、園長先生に連れられて施設のみんなで近所の小さな神社に行っていた
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