暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ @
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たくて。で、感想とか、アドバイスとかもらえたらなーって」

 そう言いながら、愛美はダブルクリップで()じた原稿を、二人が(くつろ)いでいるテーブルの上に置いた。

「そっか、書けたんだ。頑張ったね! 分かった。さっそく読ませてもらうね」

 原稿を取り上げたさやかは、テーブルの向かいにいた珠莉を手招き。

「珠莉もこっち来て。一緒に読もうよ」

「ええ、いいですわよ。愛美さん、私も僭越(せんえつ)ながら、読ませて頂くわ」

「うん。じゃあわたし、自分の部屋で待ってるから」

「えー? いいじゃん、ここにいなよ。ここにあるミルクティー、飲んでていいからさ。お菓子もあるし」

 一度部屋に戻りかけた愛美を、さやかが部屋に引き留める。
 愛美としては、誰かに自分の小説を読んでもらう時、その場にいると落ち着かないので離れていたいのだけれど……。

「……うん、分かった」

 自分がお願いしたことだし、こう手厚い待遇だと「イヤ」とも言いづらいので、この部屋に留まることにした。

(っていうか、この寮のルールでお菓子の持ち込みってどうなってたっけ?)

 原稿を読む二人をチラチラ気にしながら、テーブルの上のクッキーをつまんでいた愛美は小首を傾げた。
 多分、「お菓子の持ち込みはなるべく(ひか)えましょう」くらいしか書いていなかったような気がする。もし見つかっても、人に迷惑さえかけなければ寮母の晴美さんも何も言わないだろう。

 ――小説は原稿用紙三十枚ほどの短編なので、読み終えるのに三十分もかからなかった。

「――ねえ、どう……だった?」

 さやかが原稿を置いたタイミングで、愛美はおそるおそる彼女に訊いてみた。
 本物の編集者とかなら、ここはもったいぶって間を作るところだけれど。さやかはド素人なので、すぐに感想を言った。

「いいじゃん! 面白いよ、コレ。コレならコンテストでもいいところまで狙えるんじゃない?」

「えっ、ホント!?」

「うん。あたし、難しいことはよく分かんないけどさ。愛美らしさが出てていいんじゃないかな。文章で大事なのって、他の人には書けない文章かどうかってことだと思うんだよね。個性……っていうのかな。この小説には、それがちゃんと出てる」

「そっか。ありがと。――このお話はね、子供の頃に、私が夏休みにお世話になった農園で過ごした頃の純也さんがモデルになってるの」

 愛美はそこまで言ってから、はたと気がついた。

(……あ、そういえば、珠莉ちゃんにはまだ話してなかったな。農園で純也さんの子供時代の話聞いたこと)

 さやかには夏休みが終わる前に話して聞かせたけれど、珠莉には話す機会がなかった。さやかから彼女の耳に入っているかな……とも
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