暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ @
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ってね。書けたらコンテストに出す前に、あたしたちに一回読ませてよ」

「私も読んでみたいわ。楽しみにしてますわよ」

「うん、もちろん!」

 小説というのは、自己満足で終わってはいけないと愛美は思っている。
 自分では「いい作品が書けた」と思っていても、客観的に読んで評価してくれる人に一度は読んでもらわないと、それが本当にいい作品≠ゥどうか分からないのだ。
 親友になりつつある二人が最初の読者になってくれるなら、これ以上喜ばしいことはない。

「その代わり、忖度(そんたく)ナシでズバズバ()(ひょう)させてもらうから。覚悟しといてね」

「ええ〜〜〜〜!? お手柔らかにお願いっ!」

「ハハハッ! 冗談だよ、冗談っ! ――さ、帰ろっ」

 愛美のブーイングをさやかが笑って受け流し、三人は改めて寮への帰路(きろ)についた。


   * * * *


 寮のさやかたちの部屋でお茶を飲み、自分の部屋に帰ってきた愛美は、荷物をすべてしまい終えると机に向かった。
 開いたのは買ってきたばかりの原稿用紙……ではなく、ネタ帳兼メモ帳として使っているあのノート。開いたページには、夏休みに千藤農園で書き留めてきた小説のネタがビッシリだ。

「よしっ! 書こう」

 まずは真新しいノートに、プロットを作成する。
 書こうと決めたのは、子供時代の純也さんのエピソードをもとにした短編である。都会で育った男の子が、あるキッカケで農園で暮らすことになり、そこで色々な初めての冒険≠する、というストーリーだ。

 愛美があの時に感じたドキドキ感を、そのままこの小説の主人公に投影しようと思ったのだ。……もっとも、愛美自身は元々都会っ子ではないのだけれど。

(このプロットがひと段落ついたら、おじさまに手紙書こう)

 無事に寮に帰ってきたこと、二学期が始まったこと、小説のコンテストに挑戦することを報告しなきゃ。愛美はそう決めた。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 夏休みも終わって、寮に帰ってきました。そして今日から二学期です。
 先生たちが「二学期から勉強が難しくなるよ」って言ってたので、わたしもほんのちょっとだけ不安です。本当に、ほんのちょっとだけ。
 おじさまに、わたしから一つご報告があります。さやかちゃんの勧めで、わたしは毎年この学校の文芸部が行ってる短編小説コンテストに挑戦することにしました! いよいよわたし、作家への一歩を踏み出したんです!
 このコンテストは文芸部員じゃなくても応募できるそうで、わたしも部員じゃないけど出すことにしたんです。入選したら、賞金も二万五千円出るそうです。
 題材は、千藤農園でお世
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