暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ @
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」
同い年の女の子、それも親友とのピロートーク。これまで年下の子たちとしか同室になったことがない愛美の、密かな憧れだった。
「そうなんだ? じゃあさ、来年は一緒の部屋にしようよ」
「うん! そうしよ!」
(来年の部屋替えでは、さやかちゃんと同室にしてもらえるようにお願いしてみよう。それまでは淋しいけど、一人部屋でガマンガマン!)
愛美に、次の学年に向けての一つの楽しみができた。
(……あ。もしかしたら、珠莉ちゃんも「さやかちゃんと同室がいい」って言うかも。そしたら三人部屋か……)
ちなみに、一年生の部屋が並ぶこの階には三人部屋はないけれど、二年生から上の学年のフロアーには三人部屋が何室かあるらしい。
(ま、いっか。賑やかな方が楽しいし)
愛美は来年度、三人部屋になる可能性を前向きに考えた。
彼女は元々、どちらかといえばポジティブな方なのだ。落ち込むことがあったとしても、すぐにケロリと立ち直ることができる。愛美の自慢の一つである。
「――んじゃ、あたしはそろそろ部屋に戻るわ。荷解き、あとは一人で大丈夫?」
さやかは愛美の荷物をしまうのをだいぶ手伝ってくれ、ほとんど片付いた頃にそう訊ねた。
「うん、ありがとね。助かったよ。―あ、そういえばさやかちゃん。夏休みの宿題、もう終わった? わたしは全部終わらせたけど」
「それがねぇ……、数学の宿題が全っっ然分かんなくて。愛美、明日でいいから教えて?」
「いいよ。わたしでよければ」
「サーンキュ☆ じゃあ、また晩ゴハンの時に食堂でね」
愛美が頷くと、さやかは淋しそうにルームメイトがまだ戻っていない自分の部屋に帰っていった。
――一人になった部屋で、愛美は半袖のカットソーから伸びた自分の細い腕をまじまじと眺めた。
「わたし、あんまり焼けてないなあ」
幼い頃から愛美は色白で、夏に外で遊んでもあまり日焼けしなかった。それが元々の体質のせいなのか、育った環境によるものなのかは彼女自身にも分からない。
夏休みに海へ行ったという友達は真っ黒に日焼けしていて、「健康的でいいなあ」と愛美は羨んだものである。
農園へ行って毎日健康的に夏を過ごせば、自分もこんがりいい色に日焼けすると思っていたけれど――。
「……まあいっか。日焼けはオンナのお肌の天敵だもんね」
あとからシミやそばかすとして残ることを思えば、焼けない方がよかったのかもしれない。
「――さて、片付けが終わったらまたあの本読もうっと。それまでもうひと頑張りだな」
愛美は腰を上げ、残りの荷物の片付けに取りかかった。
* * * *
――その二日後に無事珠莉がイタリアから帰国し、九月。二学期
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