暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
ナツ恋。 A
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下さってるし」
電話に出るまでは緊張していたのに、彼の声を聞いた途端にそれはすぐに
解
(
ほぐ
)
れてしまう。
『そっか、それはよかった。――あのさ、愛美ちゃん。僕は今年の夏も仕事が立て込んでてね。悪いけどそっちには行けそうもないんだ。そう多恵さんに伝えてもらえるかな? 申し訳ないんだけど』
「……はい、お忙しいんじゃ仕方ないですよね。分かりました。伝えておきます。――もう一度、多恵さんに代わりましょうか?」
すぐ
側
(
そば
)
で、多恵さんがまだ話したそうにソワソワと待っている。
『うん、そうしてもらえる? 悪いね』
「いえいえ。――多恵さん、純也さんがもう一度多恵さんに代わってほしいそうです」
愛美は受話器の通話口を押さえ、多恵さんに受話器を差し出したのだった。
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