暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
恋の予感……
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――愛美の高校生活がスタートしてから、早や一ヶ月が過ぎた。
「愛美、中間テストの結果どうだった?」
授業が終わった後、二〇六号室に遊びに来ていたさやかが愛美に訊いた。
最初は殺風景だったこの部屋も、さやかと二人で買い揃えたインテリアのおかげで過ごしやすい部屋になった。
カーテンにクッション、センターラグに可愛い座卓。三年生が開催していたフリーマーケットで安く買えたものばかり。さやかのセンスはピカイチだ。
「うん、よかったよ。学年で十位以内に入った」
「えっ、マジ!? スゴいじゃん!」
愛美やさやかの学年は、全部で二百人いる。その中の十位以内というのだから、大したものだ。
「そうかなあ? でもね、あしながおじさんが援助してくれなかったら、わたし住み込みで就職するしかなかったんだ」
「へえ、そうなんだ……。じゃあ、そのおじさまにはホントに感謝だね」
さやかにも珠莉にも、あしながおじさんのことは打ち明けてある。二人とも、愛美のネーミングセンスは「なかなか個性的だ」と言っている。
……もっとも、このニックネームの出どころがアメリカ文学の『あしながおじさん』だということは話していないけれど。
「うん、ホントにね。――ところで、さやかちゃんと珠莉ちゃんの方はどうだったの? 中間テスト」
「…………う〜〜、ボロボロ。というわけで明日、補習あるんだ。二人とも」
「あれまぁ、大変だねえ……」
「そうなのよ〜。高校の勉強ってやっぱ難しくなってるよね」
さやかだって、中学まではそれほど成績も悪くなかったはずだ。……珠莉の方はどうだか知らないけれど。
「でもさ、愛美は勉強はできるけど流行には
疎
(
うと
)
いじゃん? こないだだって『あいみょん≠チてこの学年の子?』って訊いてたし。タピオカも知らなかったでしょ?」
さやかが愛美のやらかしエピソードを暴露した。
人気シンガーソングライターあいみょん≠「この学年の子?」と言ってしまったのは、入学して間もない頃のことである。その話が学年全体に広まってしまったせいで、愛美はボケキャラ#F定されてしまったのだ。
「あれは……、ボケとかじゃなくてホントに知らなかったの! 施設にいた頃はあんまりTVも観られなかったし、近くにコンビニもなかったから」
流行に疎い愛美は、周りの子たちの会話になかなかついて行けない。さやかがいてくれなかったら、きっとクラスで一人浮いていただろう。
「あのさ、愛美。周りの子の話にピンとこない単語が出てきた時のアドバイス。そういう時は、スマホでググるといいよ」
「ググる=H」
「うん。スマホ貸して?」
さやかにスマホを手渡すと、彼女は画面を操作しながら愛美に教え
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