暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
恋の予感……
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」
「あ…………、ありがとうございます」
(なんか……すごく嬉しい。お父さんとお母さんのこと、こんなに褒めてもらえて)
それに……、愛美は純也に初めて会った時から、心が妙にザワザワするのを感じていた。
まだ名前も分からないこの感情は、一体何なんだろう――? と。
「こんなに可愛い一人娘を遺して亡くなってしまって。ご両親はさぞ無念だったろうなあ……」
「…………可愛いだなんて、そんな。でも嬉しいです」
(――あ、まただ。何だか胸がキュンって。コレって何? わたし、どうなっちゃってるの?)
彼に優しい言葉をかけられるたび、笑いかけられるたびに、愛美の心はザワつく。
でも、それは決して不快ではなくて。むしろ心地よい感覚だった。
* * * *
――信じられないことに、注文した品を二人がすっかり平らげてしまった頃。
「すみません、純也さん。わたし、ちょっとお手洗いに」
「ああ、うん。どうぞ」
――ものの数分で愛美が戻ってくると、純也はスマホに誰かからの電話を受けていたようで、せわしなく通話を終えようとしているところだった。
「愛美ちゃん、すまない。僕はここの支払いを済ませたら、急いで帰らなきゃならなくなったんだ。だから今日、珠莉に会う暇がなくなった」
「えっ、そうなんですか? 大変ですね」
純也は急いで席を立つと、レジで二人分の支払いをしてくれた。愛美も後ろからついていく。
「愛美ちゃん、今日はありがとう。楽しかったよ。珠莉によろしく伝えておいてくれるかな?」
「はい、もちろんです」
「よろしく頼むよ。じゃあ
ま
(
・
)
た
(
・
)
」
「……はい。また」
純也は車が迎えに来るらしく、駆け足で校門の方まで行ってしまった。
(…………また? また≠チてどういうこと?)
彼をポカンと見送っていた愛美は、首を捻った。
普通に考えたら、今日は会えなかった姪の珠莉に会うためにまた@るという意味だろう。でも、もしもそういう意味じゃないとしたら……。
(……なんて考えてる場合じゃなかった! 珠莉ちゃん待たせてるのに!)
しかも、彼女に会わずに純也は帰ってしまった。どちらにしても、怒られることは予想がつく。けれど、彼女の元に戻らないわけにもいかない。
(はぁー……、珠莉ちゃんになんて言い訳しよう?)
足取り重く、愛美が寮に帰っていくと、ちょうど補習授業を終えたさやかと珠莉も戻ってきた。
「愛美ー、おつかれ。補習終わったよー」
「愛美さん、今日はどうもありがとう。ムリなお願いをしてごめんなさいね。――ところで愛美さん、純也叔父さまはどちらに?」
(う……っ!)
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