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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
恋の予感……
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、そこにいたのは寮母の晴美さんと、スラリとした長身らしい三十歳前後の男性だった。
 整った顔立ちをしていて、落ち着いた雰囲気の持ち主だ。高級そうなベージュのスーツをキッチリと着こなしている。彼が珠莉の叔父という人だろうと愛美には分かった。

「あら、相川さん。いらっしゃい」

「晴美さん、こんにちは。――あの、珠莉ちゃんの叔父さま……ですよね? わたし、珠莉ちゃんの友人で相川愛美といいます」

「ああ、君が珠莉の代わりか。(ぼく)は辺唐院(じゅん)()です。珠莉の父親の末の弟で、珠莉とは十三歳しか歳が離れてないんだ」

 彼の爽やかな笑顔からは、とてもイヤなセレブ感は感じ取れない。

(なんかステキな人だなあ……。珠莉ちゃんとは似てないかも)

「愛美ちゃん……だったね? 早速だけど、学校内の案内をお願いできるかな?」

「相川さん、お願いね」

 晴美さんにまで頭を下げられ、愛美は快く頷いた。

「はいっ! じゃあ行きましょう、純也さん」

(あ……、しまった! いきなりコレは()れ馴れしすぎたかな) 

 愛美は初対面の彼を純也さん≠ニ呼んでしまい、ちょっと反省してしまった。今までこの年代の男性とはほとんど接点がなかったため、距離感がうまくつかめないのだ。

 ……けれど。

「ありがとう、愛美ちゃん。行こうか」

 純也に不快そうな様子はなく、彼の笑顔が崩れることもなかったので、愛美はホッとした。


 純也と二人、応接室を出た愛美は彼を案内して歩きながら、彼と話をしていた。

「――あれが体育館で、あの建物が図書館です。で、あの大きな建物は大学の付属病院で、その先は大学の敷地になります」

「へえ、大学はまた別の敷地なんだね。じゃあ、学生寮も高校とは別?」

「はい。だから、進学したら寮も引っ越すことになるそうです」

 もう入学して一ヶ月以上が経過しているので、愛美も学園内の建物の配置はほぼ頭に入っている。 

「――ところで、純也さんってすごく背がお高いんですね。何センチくらいあるんですか?」

 まず彼女が訊ねたのは、彼の身長のこと。
 応接室のソファーに腰かけていた時の座高も高かったけれど、こうして並んで歩いていると四十センチはありそうな彼との身長差に愛美は驚いたのだ。

「百九十センチかな。ウチの家系はみんな背が高くなる血筋みたいでね」

「ああ、分かります。珠莉ちゃんも背が高いですもんね」

 ちなみに、珠莉の身長は百六十三センチらしい。

「わたしは百五十しかなくて。だから珠莉ちゃんが羨ましいです」

 愛美はよく、「小さくて可愛い」と言われるけれど。本人はあまり嬉しくない。「せめてあと五センチはほしい」と
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