暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
旅立ち、新生活スタート。
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るけれど、スマホどころか携帯電話自体を持つのが初めての愛美には、使い方が分からないのだ。
 こういう時は説明書、と箱の底の方まで見てみても、入っているのは薄っぺらいスターターガイドだけ。読んでも内容がチンプンカンプンだ。

(使い方くらい、手紙に書いといてくれたらいいのに)

 八つ当たり気味に、愛美は思う。けれど、それもあえて書かなかったのだろうか? 愛美がこういう時、どうするのかを試すために。

「う〜ん……、どうしよう? ――あ、こういう時は……」

 愛美はスマホを持ったまま部屋を飛び出し、隣りの部屋――さやかと珠莉の部屋である――のドアをノックした。

「さやかちゃん、愛美だけど! ちょっと助けて〜!」

「どしたの?」

 出てきたさやかは迷惑そうな顔ひとつせず、愛美に訊ねる。

「あのね、保護者の理事さんがスマホをプレゼントしてくれたんだけど。使い方が分かんなくて……。さやかちゃん、お願い! 教えてくれない?」

「スマホの使い方? もしかして初めてなの?」

「うん、そうなの。そもそもケータイ持つこと自体、初めてなんだ」

 それは施設にいたから、ではない。愛美には親も親戚もいないから。
 同じ施設にいても、親や親せきがいる子はケータイを持たせてもらっていた。愛美はそれを「(うらや)ましい」と思ったことがなかったけれど……。

「いいよ、教えてあげる。愛美の部屋に行ってもいい?」

「うん! ありがと、さやかちゃん!」

 愛美は大喜びで、さやかの両手を握った。さやかは成り行き上ルームメイトになった珠莉に一声かける。

「じゃあ珠莉、あたしちょっと隣りに行ってくるから」

「あらそう。どうぞご自由に」

 珠莉は素っ気ない返事をしただけ。――まあ、まだ知り合ったばかりだし、そう簡単に打ち解けるわけがないだろうけれど。

「何あれ? カンジ悪〜! ……まあいいや。行こう、愛美」

「う、うん」

 戸惑う愛美を連れ、さやかは愛美の部屋へ。

「おっ、パソコンあるんだ。でもスマホは使えないの?」

「うん……。さやかちゃん、分かる?」

「スマホって、手に持ってるそれ? ちょっと貸して?」

「うん」

 愛美が手渡すと、さやかは自分のスマホと見比べる。

「あ、これ、あたしのとおんなじ機種だ。だったら何とかなるかも」

「ホント?」

 さやかは手際よく、いくつかの操作をして愛美にスマホを返した。

「とりあえず、取扱説明書のアプリ入れといたから。困った時はそれ開くといいよ。あと、あたしと珠莉のアドレスも登録しといたから」

「ありがとう、さやかちゃん」

「いいってことよ☆ 友達じゃん、あたしたち」

 友達
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