暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
旅立ち、新生活スタート。
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机・椅子、クローゼットなどの大きな家具は一通り揃っている。こまごましたインテリアはまた買い揃えるとしても、とりあえずは生活していけそうだ。

 クローゼットの扉を開けると、白い(えり)とリボンがついたダークグレーのセーラー服とスカートがかけられている。これがこの学校の制服である。  

 ――それにしても、と愛美は思う。

「やっぱり似てるなあ、『あしながおじさん』のお話と」 

 これだけ同じようなことが起きれば、もう狙ってやっているとしか思えない。――さやかや珠莉と部屋が隣り同士になったのは偶然だとしても。

「でも、これ以上の偶然は起きないよね……。いくら何でも」

 ――そう、あれは物語の中の出来事。現実ではあんなに何もかもがうまくいくはずがないのだ。

 愛美はいったんスーツケースをフロアーに置き、ベッドにダイブした。
 低反発のマットレスに、ふかふかの寝具一式。寝心地もよさそうだ。
〈わかば園〉では畳の部屋に布団を敷いて寝ていたので、ベッドで寝るのが愛美の憧れでもあった。

「――あ、そうだ。小包み開けよう」 

 愛美はガバッ起き上がり、スーツケースを開いた。部屋に入るまでのお楽しみに取っておいたのを、ふと思い出したのだ。

「田中さんは何を送ってくれたのかな……?」

 ワクワクしながらダンボール箱を開けると、クッション材が詰め込まれた中に大小一つずつの箱が入っている。小さい方の箱に書かれているのは携帯電話会社のロゴマーク。
 もう一つはB4サイズくらいの箱で、こちらは少し重量がある。

「わあ……! スマホだ! ……あ、手紙も入ってる」

 横長の洋封筒に入っている手紙を、愛美は開いた。


『相川愛美様
 
 ささやかな入学祝いの品をお送りいたします。
 料金は田中太郎氏が支払いますので、安心してお友達とのコミュニケーションツールとしてお使い下さいませ。
 もう一点は作家を目指される愛美様のために、田中様が購入したものでございます。どうぞお役立て下さいませ。
 改めまして、高校へのご入学おめでとうございます。 久留島栄吉』


「――どこまで太っ腹なんだか。田中さんって人」

 入学祝いにスマホをプレゼントして、しかも料金まで支払ってくれるなんて……!

「もう一つの箱は……ノートパソコンだ。この寮、Wi―Fi(ワイファイ)ついてるんだよね。さっそくセッティングしちゃおっと♪」

 愛美はよく施設の事務作業を手伝っていたので、パソコンの扱いには慣れているのだ。壁紙やパスワードなどの初期設定は簡単にできてしまった。

 ――ところが、ここで一つ問題が起きた。

「スマホって、どうやって使うんだろう?」

 パソコンの扱いには慣れてい
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