暁 〜小説投稿サイト〜
トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第3部 秘密の格差恋愛
彼のために、わたしができること C
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
したのは甘かったのではないか、と。
 わたしはその質問に対しても、自分の考えを真摯(しんし)に述べた。この処分は彼の再起と、彼のご家族への配慮を念頭に置いて決定したものである、と。

 罪を憎んで人を憎まず、それが父の信条(モットー)でもあったから――。


   * * * *


「――村上さん、会見お疲れさまでした。一緒にいて下さって心強かったです」

 会見場である大会議室から重役フロアーに戻る時、わたしは一緒になった村上さんにお礼を言った。わたしが返答に困っていた時、彼はさりげなく助け船を出して下さっていたのだ。

「お疲れでした、会長。桐島君は?」

「会長室で待ってくれています。彼もきっと、会見をネット配信で観てくれていたはずです。この会見は彼のために行ったようなものですから」

「やっぱりそうだったんですね。……いえ、これは失礼。では」

「…………? はい」

 村上さんと別れてから、わたしは首を傾げた。――「やっぱり」ってどういうこと?

 会長室へ戻ると、応接スペースのテーブルの上にコーヒーの入ったマグカップを用意して彼が待っていた。

「――ただいま、桐島さん」

「会長、おかえりなさい。会見の様子、僕もPCで拝見しておりました。僕のために世間の矢面(やおもて)に立って下さってありがとうございました」

「そんな……、やめてよ。わたしはただ、自分にできることをやっただけなんだから。そんなにかしこまることないよ」

 深々と頭を下げて感謝の意を述べた彼に、わたしは苦笑いした。

「ですが、あんなに厳しく詰め寄られて大変だったでしょう」

 彼はそう言うとわたしの隣に腰を下ろし、優しく頭をポンポンとなでてくれた。

「よく頑張りましたね、会長」

「……うん。ありがと」

 彼の大きな手は、いつもわたしを安心させてくれる。この時もそうだった。わたしはいつもこの手で守られているんだと思うと、愛おしさが増してきた。

「――それはそうとですね、会長」

「うん? なに?」

「僕と会長の関係、もう周りにバレてるみたいですよ」

「…………ええええっ!?」

 彼がボソッとした暴露に、わたしは思わずのけぞった。村上さんがおっしゃっていた「やっぱり」って、まさかまさか……!?
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ