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トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第1部 父との別れとわたしが進むべき道
父の誕生日 @
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してもそれは同じで、父や母から強要されたことはなく、わたしが自分から「習いたい」と言ったことをさせてくれていた感じだった。
だからわたしは、初等部の頃からずっと電車通学だったし、放課後には友だちとショッピングを楽しんだり、カフェでお茶したりといったことも禁止されなくて、のびのびと自由度の高い学校生活を送ることができたのだと、両親には今でも感謝している。
――それはさておき。
「あら、あなた。こんなところにいたのね。……まあ! お酒なんか飲んで! ダメって言ったでしょう!?」
父と二人で楽しく談笑していると、そこへ母がやってきて、父の飲酒に目くじらを立て始めた。「体調が悪いのに飲酒なんて何を考えているの」「心配している家族の気持ちも考えて」と、まるで母親に叱られる子供みたいに母から叱責されている父が、わたしはだんだんかわいそうになってきた。
「ママ、そんなに怒ったらパパがかわいそうだよ。今日はお誕生日なんだし、それくらいわたしに免じて大目に見てあげて!」
自分も父の飲酒を咎めていたことなんか棚に上げて、わたしは父の味方についた。妻と娘、両方から集中砲火を浴びせられたら逃げ場を失ってしまうからだ。ましてや父は篠沢家の入り婿で、立場が弱かったから。
「ね? ママ、お願い!」
手を合わせて
懇願
(
こんがん
)
したわたしに、母はやれやれ、と肩をすくめて白旗を揚げた。父もそうだったけれど、母も何だかんだ言ってわたしにめっぽう甘いのだ。
「…………しょうがないわねぇ。ここは絢乃に免じて目をつぶってあげる。ただし、その一杯だけにしてね?」
「分かったよ。ありがとう、加奈子。君にも心配をかけて申し訳ない」
父は許可してくれた母にお礼とお
詫
(
わ
)
びを言って、チビチビとクラスを
傾
(
かたむ
)
けた。母はどうやら娘のわたしにだけでなく、夫である父にも甘かったらしい。
――結婚前、篠沢商事の営業部に勤めるイチ社員に過ぎなかった父は、当時の上司――営業部長の勧めで会長令嬢だった母とお見合いし、その日にすぐ共通の趣味であるジャズの話で意気投合したそうだ。そんな二人が結婚を決めるのに、それほど時間はかからなかったらしい。
二人は結ばれるべくして結ばれたので、父は母のことを本当に愛していたと思う。娘のわたしが見た限りでは、夫婦仲もよかった。
そして、父は
一粒種
(
ひとつぶだね
)
だったわたしのことすごく大事に思ってくれていた。
わたしも父のことが(もちろん、母のことも)大好きで、尊敬もしていたので、子供の頃から「わたしが父の後を継ぐんだ」と思うようになったのもごく自然なことだったのかもしれない。
わたしたち親子三人は本当に、心から幸せだった。――
あ
(
・
)
の
(
・
)
夜
(
・
)
から三ヶ月後までは。
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