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トップシークレット☆ 〜お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる〜
第1部 父との別れとわたしが進むべき道
父の誕生日 @
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い、再び広い会場内を早歩きで移動し始めたのだけれど。その時、母が貢と何か話している光景がわたしの目に飛び込んできた。
母は楽しそうに彼をからかっているように見え、それに対して彼は何だか恐縮している様子で、母にペコペコと頭を下げているようだった。
「ママ、あの人と一体、どんな話をしてるんだろう……?」
二人の様子も少し気になったけれど、その時の優先順位は父を探すことの方が上だったので、その疑問はとりあえず頭の隅っこへと追いやっておくことにした。
「――あっ、いた! パパー!」
その少し後、わたしはバーカウンターにもたれかかっている父の姿を見つけた。
「絢乃? どうしたんだ、そんなに血相かえて」
「どうしたんだ、じゃないでしょ? パパのことが心配だったの!」
そう言いながらわたしがカウンターの上にチラッと目を遣れば、そこにはウィスキーの水割りが入ったグラスが。
「お酒……飲んでたの? ママに止められてるのに」
咎
(
とが
)
めるわたしに、父は困ったような表情を浮かべてこう言った。
「心配するな。これでまだ一杯目だから。誕生日なんだから、これくらい許してくれよ、な? 頼むから」
いい歳をしてダダっ子のような父に、わたしは思わず吹き出してしまった。これでオフィスにいる時には、堂々たるボスの風格を
湛
(
たた
)
えていたのだ。そんな父のギャップを見られるのは、家族であるわたしと母だけの特権だったかもしれない。
「仕方ないなぁ……。じゃあ、その一杯だけでやめとこうね? ママもそれくらいなら許してくれると思うから」
「ああ、分かってる。すまないな。絢乃もいつの間にか、こんなに大人になってたんだなぁ」
「……パパ、わたしまだ高校二年生だよ?」
どこか遠くを見るような目をして言った父に、わたしはそうツッコんだ。けれど、多分父が言いたかったのはそういうことじゃなかったのだ。
父親にお説教ができるくらい、わたしが成長したと言いたかったのだと思う。
――わたしは初等部から、
八王子
(
はちおうじ
)
市にある私立
茗桜
(
めいおう
)
女子学院に通っていた。
女子校に入ったのは両親の意向では決してなく、わたし自身の意思からだった。「制服が可愛いから」というのが、その理由である。
父も母も、わたしの教育に関しては
厳格
(
げんかく
)
でなく、どちらかといえば「お嬢さま
=
(
イコール
)
箱入り娘」という考え方こそ時代遅れだと思っていたようだ。わたしには世間一般の常識などもちゃんと知ったうえで、大人になってほしいという教育方針だったのだろう。
その証拠に、両親はどんな時にもわたしの意思をキチンと尊重してくれて、わたしがやりたいと思ったことには何でもチャレンジさせてくれた。習いごとに関
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