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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第136話『潜入作戦@』
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夫なのか?」


いくら素人の大地でも、鏡男の能力が圧倒的なものであることは理解している。だからこそ、ここに晴登を残すことに逡巡を見せた。しかし、


「任せろ!」


その迷いを断ち切るように晴登はそう言い放ち、表情に確固たる決意を宿す。

鏡男はこのイレギュラーな二人の存在を前に、しばらく様子を伺っていた。加えて、女子が男子を逃がそうとしているという構図に、若干の困惑が見て取れる。しかし、すぐにその疑念を振り払うように構えを取った。


「大地行って!」


晴登が叫ぶ。その声を聞いて、大地は躊躇を振り切るように駆け出した。


「……負けんなよ!」

「当然!」


大地が走り出すと同時に、鏡男が加速する。まるで影が滑るような鋭い動きで、大地の背中に向かって疾走した。


「行かせるか!」


晴登は迷いなく飛び出した。"風の加護"を足元に纏い、一瞬で鏡男の進路を塞ぐ。

"晴読"で予知できるとはいえ、全容がわからない相手に無策で立ち向かうことはとても怖い。でも、今だけは逃げられない。絶対にここから先は通さないのだと、集中力を最大まで研ぎ澄まし、鏡男の初撃に備えて──


「……は?」


晴登の目の前で、鏡男が突如として動きを止めた。そして──

ぽんっ

あろうことか、晴登の肩を軽く叩き、そのまま素通りしていった。


「え、ちょっ、何……?」


晴登は訳がわからず、肩透かしを喰らった気分だった。
だが晴登が思考停止している間にも、鏡男の魔の手が大地へと伸びる。


「く、クソっ!」


晴登は乱れた思考を切り替えて、すぐに追おうと足に力を込めた──が。


「あれ、足が!?」


次の瞬間、彼の身体はズブズブと床に沈んでいった。まるで底なし沼に飲み込まれるかのように、脚から下がゆっくりと消えていく。


「さっき触れたのはこのためか……!」


鏡男の能力──"鏡間移動"。触れた対象が鏡の中を移動できるようになる能力だと仮定すれば、晴登の肩に触れた意味がわかる。彼は晴登をここから追い出すことが目的なのだ。


「させ、るか……!」


膝まで沈みながらも、晴登は諦めなかった。身体が鏡の世界をすり抜けても、魔術は反射されるはず。


「"噴射(ジェット)"!」


床に向けた手のひらから、強烈な風を噴射する。

想定通り、反作用で身体が浮き始めた。視界が一気に持ち上がり、沈みかけた下半身が床から抜け出す。


「……!」


背後でその光景に気づいた鏡男が、即座に足元から鏡の壁を生成し、道を塞ごうとする。


「間に合う!」


地面から迫り上がる壁を見ながら
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