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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第136話『潜入作戦@』
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「誰も女装の感想なんか聞いてないんだけど……」


大地の答えを聞いて晴登は苦笑い。
スカートの裾を気にしながら、軽く屈伸をしてみる。やはり動きづらい。まさかこの姿のまま戦闘(バトル)することになるのだろうか。下に体操服でも着てくれば良かった。


「さっきは話の腰を折らないために確認しなかったけど、晴登がマジックって言い張ってたのが、実は本物の超能力でしたって話で合ってる?」


大地が退屈を紛らわすように尋ねた。その目には疑念よりも、驚きと興味が混ざっていた。


「うん、大体合ってる」

「へぇ〜。近くにいたのに全然気づかなかったな」

「俺も何でバレなかったのかわかんないよ。今まで何だかんだ見せてたし……」


過去を振り返ってみると、普通に人前で魔術を使った機会が多い。例えば大地の場合は、


「えっと、運動会の時と……もしかして林間学校の時もか?」

「お、当たり」

「は〜ようやく納得したよ。今考えたら不自然なことばっかだったしな。マジで何で気づかなかったんだろ。まるで思考を邪魔されてたみたいだ」

「そんな力はないはずだけど……。今度時間ができた時にもっと詳しく説明するよ。大地ももう関係者だしね」

「それって喜んでいいのか?」


大地は苦笑する。状況に見合わない、そんな和やかな空気が流れた瞬間。


「──来たぞ!」


異変に先に勘づいたのは大地だ。彼の鋭い声と共に、目の前の鏡の表面が歪む。まるで水面に石を投げ込んだように揺らぎ、そこから影がゆっくりと浮かび上がった。


「これが複製体(コピー)……!」


現れたのは、自分達と瓜二つの存在──否、正確には無表情で生気のない瞳を持つ偽物達だった。
晴登はこうして目にするのは初めてだが、自分が自分の目の前に立っている光景は実に奇妙だった。


「けど、これは作戦通り……」


このまま敵に無視されることがこの作戦の失敗条件だったが、ひとまずそこはクリアした。
二人は静かに身構える。次の瞬間、鏡の中へと強引に引きずり込まれた。







「ここは……学校?」


まるで水の壁を通り抜けたかのような感覚と共に、鏡をすり抜けるという不思議な体験を終えると、そこは見慣れた学校の廊下だった。未知の場所に繋がっているかもしれないという懸念をしていただけに、拍子抜けしてしまう。

しかし、違和感はすぐに判明した。


「元に戻った……訳じゃなさそうだな」


廊下に並ぶ教室の扉、窓の外に広がる空、黒板、机や椅子……すべてが日常と同じように見える。だが、クラス札の文字が左右反転している。壁に貼られた掲示物の文章もすべて鏡写しだ。



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