第136話『潜入作戦@』
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。優菜ちゃんを助けるためなら、囮だって何だってやってやる」
「そうこなくちゃな」
「お前、性格悪いだろ」
「合理的な作戦と言ってくれ」
悪態をつきながらも、大地は伸太郎の提案を承諾した。半ば強制的だった気もするが、彼も嫌々という様子ではない。むしろ、自分が出向くことを望んでいたのだから、伸太郎はその心情を上手く利用したと言える。
「ここの防衛は俺と結月でやる。晴登は鳴守と一緒に行動しろ。ただし女装のままで」
「何で!?」
「さっきみんなが連れ去られてる時、俺とお前と天野は狙われなかった。あれを偶然と片付けてもいいが──仮に相手が魔術師を避けていたとしたら?」
伸太郎の推測に、晴登は息を詰まらせる。確かに、自分たちだけが狙われなかったのは奇妙だと思っていた。
敵は魔術師。ならば当然警戒する対象も魔術師であり、この学校にいる魔術師の顔くらいは把握していることだろう。伸太郎の仮説は辻褄が合う。
「どのみち一般人の鳴守一人に行かせても帰ってこれる保証がない。あの時も今も姿を偽ってるお前がついていくのが最も合理的だ」
鏡男に狙われなかったのはあくまで『伸太郎がいたから』であり、『晴登のことはバレていない』という前提のアサインだ。確かに見た目だけなら立派な女の子なので、そう簡単には身バレしないとは思う。
晴登は葛藤していた。?この作戦を遂行すれば、大地が危険な目に遭うかもしれない。優菜が攫われたばかりなのに、これ以上大切な友達を失うことなど耐えられそうになかった。
しかし、伸太郎の作戦以上に有効な策が思いつかないのもまた事実。ある程度のリスクは覚悟しなければならない。
「……わかった、その作戦でいこう。大地もそれでいい?」
「あぁ。自分の手で助けに行けるなら願ったり叶ったりだ」
「じゃあ決まりだな」
伸太郎は満足げに頷く。
「あとは連れ去られた人達を見つけた後のことなんだが……これは正直ケースバイケース。できれば一度戻ってきてもらって、情報を得た上で作戦を立て直したいが……無理ならそのまま二人だけでその人達の解放までしてもらうことになるかもしれない」
「鏡男に見つからなければいいけど……」
「十中八九、見つかるだろうな。だからその時の判断はお前に委ねる」
「わかった」
こうして、大地と晴登は潜入作戦を決行することになった。
*
「この作戦、本当に上手くいくのか?」
作戦のため、伸太郎達と別れて行動することになった晴登と大地。向こうから仕掛けてくるのを待っているという状況で、晴登がふとそうこぼした。
「お前が疑ったら俺も不安になるだろ。大丈夫だ、その格好似合ってるぞ」
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